★★★★で文句なし!

いやあ……アツかった。
素晴らしい物語でした。
よって、これも★★★★です。

自身が格闘家である梧桐さんだから
ボクシングのシーンが素晴らしいのは当然として、
出てくるキャラクターたちの
なんとイキイキとしていることか!

まず、主人公のアキラとロニー。
それぞれ「傷」をもったボクサーが
協力して再起を図る物語。

その男の友情が、実にカッコいい。

そうです。この作品の素晴らしさは
「登場人物が見事に描かれていること」に
ほかなりません。全員、実にいいのです。

メインのアキラとロニーをはじめ、
その再起を支える、ソムチャイ、スミトラ、ヨーギ。
男臭い物語を彩るふたりのヒロイン、弓子とエルミ。
旧友の進藤、そして敵方の薮田と矢上……。

もうね、全員に血が通いまくってるから
誰彼かまわずに感情移入してしまいそうなほど。

この造形とキャラ立ての見事さは、
ほんのチョイ役としての登場でしかない
医者や漢方薬屋やタクシー運転手まで
完璧に貫かれています。

しかも、セリフ回しが実に素晴らしい。
端的で短いけど、読者をグサッと刺してくる。
この点は本当に、本作の白眉だと思います。

もちろん、ストーリーもいい⇒引き込まれっぱなし。
ラストシーンもいい⇒最高の読後感。

男の物語のなかにチラッと挟まれた恋愛模様も
心地いいカタルシスを与えてくれます。

――え? なんです?

ホメっぱなしじゃないかって?

そうですよ。仕方ないです。
こんな最高の小説、ホメるしかないじゃないですか!

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