例えるなら、「観測史上最強の台風」みたいな作品

まず、和田島さんって何者? と思う(笑)

ジャスト1万字の小説。うち98~99%が主人公の独白で、
つまりはほぼ全部が地の文で、カギカッコでくくられた「会話文」は
たったの数行しかない――という潔い構造。

これを軽々と成立させた筆力。なんですかこれ。
言葉の速射砲。しかも波状攻撃。そこここに、開放的に忍ばせた名文の数々。
軽率に手を出してしまった憐れな子羊系の読者には、
この破壊力をよけられる手立てなどありませぬ。
例えるなら、「観測史上最強の台風」みたいな作品です。

もちろん、その容赦ない怒涛のなかにあっても
(おそらくは)緻密で念入りで果てしない計算が施されているのだろうから
恐ろしいというか何というか、なのであります。

すごいなあ……。

と、語彙力の塊みたいな作品を語彙力ゼロで評価しちゃう私も私ですが、
一度サラッと読んでからもう一度最初に戻って確認してみても、
すごかったんだから仕方がない。ギブ。白旗。拍手。

ともあれ原点に立ち返って再び思う。

――和田島さんって、何者ですか?(笑)

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