クーデター

 切尾商会の株主総会を前にして、南でクーデターが起こる。南ノ婿殿が南ノ方サマから実権を奪い、南を差配しはじめた。

 南ノ婿殿は、前の中ノ方サマにも近い血筋の方で、容姿も貴公子然としていた。

 発端は、南ノ方サマが突如として、まわりを納得させる理由もないままに、西との対立回避を言い出したことにあった。南ノ婿殿は、南ノ方サマと西ノ婿殿の昔の関係を思い出し、それが理由であろうと考えた節がある。南の一族の同意をもとに、自分が一族をひきいることにした。

 南ノ方サマに近い者たちの多数が、少なくとも表面上、南ノ婿殿のクーデターを支持したのは疑問であった。勝算が低いと判断した南ノ方サマの企てごとで、責任を南ノ婿殿に押し付けるため、彼をけしかけたのではないかと勘ぐる者もいる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る