南へ西へ

 平成不況と派閥争いの激化により、切尾商会は崩壊の寸前となる。立て直したのは、二代前の南ノ方サマであった。彼女は切尾内の自分の敵対者を追い出し、切尾本家の当主の後継人となり、権力を自分に集めた。保守的であった南ノ方サマは、すたれていた諸慣例の立て直しと切尾本家への権威の再集中をめざした。

 その二代前の南ノ方サマが目的達成の途中で死ぬと、前の西ノ方サマが権力を握った。

 二代前の南ノ方サマが急死する直前に面会していたのは前の西ノ方サマであったので、いろいろなうわさが流れた。

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