権威権力

 男であるオバサマにとって、切尾における権威の源は、死んだオカアサマが幼い当主を支えるために、彼を当主代理に選んだことにある。オバサマは足りない権威を、有力な分家、老松長者、五丘労働組合を引き立てることで補った。それは、切尾内で本家当主が独占していた権威を、彼らが手にする機会となった。

 幼い当主が成長すれば、男であるオバサマの代理者としての役割は終わるはずであった。しかし、オバサマは切尾家の体制を揺るぎないものとするべく、当主が成人しても当主代理の座に残った。それを可能とし、当主派を抑え込めたのも、有力分家、老松長者、五丘労働組合の助力のおかげであった。

 オバサマが死んでも、彼らの権威は保たれ、本家当主が権威を独占していた時代には戻らなかった。

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