母系社会

 切尾では母方の血が重視され、父方の血はかえりみられなかった。

 切尾に生まれた女はたいてい婿を取るが、外から婿を取る場合、中ノ方サマかその代理が婿入りの可否を決めた。

 切尾が婿に求める条件は、何らかの才能はあるが権力とは関係のない者であった。切尾では、無能な男は存在を許されなかった。また、切尾が婿の生家や所属する組織の影響を受けることも嫌われた。

 他家の女が切尾に嫁入りすることはなく、男が他家の女と結婚する場合は、他家への婿入りが義務づけられていた。オバアサマの血を引いていない女が、切尾を名乗ることは許されなかった。

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