終わる世界に天使は舞う

突然に、唐突に世界は滅亡の道を辿る。

超能力めいたCU能力により、人類の世界ではなく、世界を救うために奮闘する。

死んだはずの姉。

全てのきっかけとなった事故の真実。

人類が滅びていく理由。

記憶では定かではない朧げな人物は。

絡みゆく謎は収束し、世界と人類の戦いへと。

世界の新たなる形が正しく創造されますように。

ネタありの能力もの。

パロディとまではいかないけど、所々他作品のネタが織り込まれており、そのネタを知っている人としては思わずニヤリとくるものがありました。取り敢えず某作家さんに対する愛はひしひしと伝わってきました。

それはそうと内容の方。作風としてはライトノベルテイストとなっており、やや中二臭さはあるもののそれがいい意味で作品の味付けとなっているところがプラスでした。壮大なスケールで繰り広げられますが、意外にも設定等の破綻がなく、綺麗なかたちで物語が終わり、読了感が素晴らしいものになっていました。これは良作です。

不慮の事故に遭った少年、彼が目覚めると世界は崩壊していて――。生き残った人類、それらを喰らう異形の者達。終末モノとして壮大であり、設定や文章に破綻もなかったので、スムーズに読み終えることができました。
単に『人類を守るために愛と勇気でモンスターを倒す』といったチープな内容じゃなかったのが良かったです。ファンタジーというよりはSF寄りで、ガイア理論に基づいた滅亡と創世の物語でした。

ただ物語の核心に触れるまでが盛り上げ不足であると感じました。中盤辺りまでは主人公の蒼太の性格も相まって（キャラ設定には理由があるのですが）、読者が置いてけぼりになっている感じもありました。崩壊した世界に戸惑ったり…続きを読む