塩屋すばる　vanilla_66

400字のシバリの中の世界が大きい。 アイデアが秀逸であることはもちろんですが、 小さな日常を描いたお話の中でさえ 人物描写に厚みがあります。 とくに好きなのは 「3つの願い」…続きを読む

ユーミンの名曲に捧げられた本作は、 わたし達を真に暗い宇宙の彼方へ連れ去ってくれる。 光のとどかない、 闇の向こうでも 沈丁花は香るのでしょうか。 沈丁花は夜に香る花だから。…続きを読む

いやな予感しかしない作品ってある。 本作はその期待を裏切らない正しいミステリーである。 的確で安定感のある文体なので、安心して主人公の昏い人生を覗き込むことができる。 どんどん…続きを読む

NHK(エネーチケー)といえば、 かの大先生の「◯◯84」が高名だけど、 本作ではずいぶん可愛い感じの集金人で うっかりNのファンになった笑 廃墟の描写もとても良く、 「ブレー…続きを読む

的確な言葉遣いと 的確な批評精神。 的確な設計のもと組み立てられた 的確な物語。 そのすべてが、 「愛」または「情」といった、 きわめて不的確なものを動機としている。 憎むべき…続きを読む

この世とこの世ならざる世界とは うすい紙を挟んだだけのところで 均衡を保っている。 のではないかと、おもう。 霊感とかないもので。 本作ではその薄紙のあちらとこちらを 自由に行…続きを読む

やられましたね、 すっかり信じ込んで読んでいました(^^) カルい主人公にイライラする読者を、 なんとも軽やかに裏切る。 ミステリーの肝はカタルシスです。 そのことを思い出しま…続きを読む

閉じた文明と 開けた未来。 砂つぶを巻き上げながら吹く廃墟の風の音、 摩天楼に響く人の営みが出す音 そんな音が聴こえてくるような作品です。 静謐と喧騒 絶望と希望 どちら…続きを読む

テクニックも構成も抜群、お若いのに一体なにを読んで育ったのかな、一晩ヒザを詰めて語りたいくらいです。 この手の物語は、 いきおい私小説風になりがちですが、適度な距離感が心地よく、…続きを読む

上手い。

散りばめられたお題に、読者のわたしは「ああ、お題だったのか」と、気づかされ、すとん、と落ちる心地よさ。

そして
主人公クンがいいやつです。
ほんと。

少年の日は短い。 少年の夏は短い。 そう言う人がいる。それは、その人が大人になっているから。 少年にとっての夏は永遠に続く日々なのに。 待っても待っても現れない、 永遠に追いつけ…続きを読む

現代では
いつどんなところからでもやり直しはきく。…と、おもっていたけれど、
やり直せないと思う、そんな通過点があることを思い出しました。

なかなかのサスペンスです。
ハリウッドに作らせたらかなり大掛かりになりそうな筋立てなのに、日常生活のテンションでひょうひょうと解決しているのがすごい。

書き慣れておられ、場面の選択もエピソードも完璧、と言ってよいさりげなさ。 驚きがあるようでない、 なさそうで驚く。 このパッケージでこれだけのメッセージが伝えられるとは！ 他の…続きを読む

蝉の声が聴こえてくるような描写力です。

夏は残酷な季節であり、
家族という枷が残酷な運命であることを
鋭くえぐります。

この先もとても楽しみな作家さまです！

大人になると、こどもだったときの気持ちはあまり思い出せなくなります。 「おとな」になれたら「じゆう」になれるはず、と思っていたことを、思い出せなくなるのです。 そんな、「こどものき…続きを読む

スピード感あり、あっというまに読みおわってしまった。
含蓄ある示唆的な内容、破綻のない展開、それぞれのキャラクターが立つ設定。お見事でした。
続編待たれますな！