均衡。

この世とこの世ならざる世界とは
うすい紙を挟んだだけのところで
均衡を保っている。

のではないかと、おもう。
霊感とかないもので。

本作ではその薄紙のあちらとこちらを
自由に行き来しており、 
読者のわれわれは、作者のミスリードに
まんまと引っかからないように気をつけていたはずなのに、まんまと引っかかってしまい、まんまと引っかかったことにより快感を得る。

作者さんは書き終えたあとで

あああ、
あの箇所を、いじりたい!

と、思ったことがあるかもしれない。
いじくると均衡は崩れてしまう。

かもしれない。
でも、いじりたい!

でも…

ことほどさように、
均衡のあやうさ、というものは
繊細なテクニックを要します。


これこそが醍醐味ですよね!

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