閉じた文明と開けた未来。砂つぶを巻き上げながら吹く廃墟の風の音、摩天楼に響く人の営みが出す音そんな音が聴こえてくるような作品です。静謐と喧騒絶望と希望どちらの対比もメリハリがあり、勢いを感じます。
前半の荒廃世界と、後半の萌芽がみずみずしく対比されていて、とても晴れやかな気分になれます。よし、やってやろう的な気持ちにさせてくれます。神様ふたり(?)の人間臭いところも含めて、とても愛おしくなる作品世界です。
そんな想像が膨らんでしまいます……そして、それを支えてくれた未知の存在がいたら……と思うとわくわくしてしまいますね。今の人類が滅びそうになった時、助けてくれる存在は居るのでしょうか。人類を信じて、この星に残り再び繁栄する事を許してくれるのでしょうか。許して欲しいですね。
ミソラとウォルフガン、二人のプロフィールは謎が多く、ストーリーも不思議さを含みつつ展開していきます。その文章に書かれない余白に、想像力を掻き立てられます。この作品の要となるのは「人間讃歌」というテーマだと感じました。荒廃した世界の中で、二人が信じた人間という種族は、長い時を経て各々の未来を獲得した。その生命力は強く、尊いものなのでしょう。いくつもの過ちを犯しつつも、それでも明るい未来を信じて種を継承し続ける人間。そんな彼らを信じてくれたミソラとウォルフガンは、さながら慈悲深き神のようです。
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