橘 紀里

その夏、日照りが続いて畑はひび割れた。村長は幼い姉弟に山神さまへの遣いを頼んだ。遣いなどというが、実際は贄だ。身体の弱い弟を庇い、姉は供物と共に輿に乗る。 山の奥に待っていたのは…

「第四回偽物川小説大賞」によせて、もうひとつ夫婦の話を書きました。二作目です。

岩石砂漠となった故郷に緑を甦らせたい月桂は、ある日自宅の庭の水路で、満開の花の中で倒れている美貌の青年を見つける。 彼は月桂が欲する、大地に命を与えることが出来る力を持つ「色命数…

ある朝忽然と彼女が消えてしまった。交差点の信号機の横に浮いていた彼女。付き纏われて、つき合わされて、迷惑だと思っていたのに、俺の心に小さな隙間ができた。 ＊＊＊＊＊ 小説家に…

　僕の住むＮ村には、十年前から十七歳の女の子の幽霊が、村人たちと住んでいる。 　彼女は村で行われる『いまわさん』という風習で幽霊になった女の子だ。 　美少女だけど怠け者の性悪で、…

: oder ein Geist der Großstadt. 一九二〇年代、大戦による傷の癒えないエーゴンは大都市ベルリンをさまよう。

ダンスチーム「Soulectrics」が誘拐された。犯人はどうやら金目的ではないようだ。 犯人はむしろ金を渡して頼み込んできた。 「村で神楽を踊ってほしい」 武道館のショーケース…

彼らも、そして実のところ、私でさえも、どうして私がそんなお金をもって消えるのか誰も分からない。私は昆虫たちと同じだ。 結婚詐欺師である「私」の話です。

竜を狩る事を生業とする竜追いの八神は、独りきりになったイサナを連れていくことになる。 取り返しのつかない行いと、失くしてしまったそれまでの生き方。多くのものを背負い、抱える二人の…

竜を狩り、食し、生活に利用する者たち、竜追い。 一方で竜を信仰する者たちがいた。 竜追いの八神は、竜を信仰する少女、イサナと出逢う。

宇宙で星屑を集めている清掃員のスイープ。 天の川の清掃中に半分透けた子供に出会う。そのままではすぐに消えてしまう『儚いもの』だと気づいたスイープは流れ星にお願いしたいというその子…

「第四回偽物川小説大賞」に参加させて頂きます。 昭和っぽいだらだらしたお話です。 親子愛って分類の「ストーゲイ」になるのかなと思って指定しましたが違ってたらすみません。

「キャッチボール」のように交互に小説を書きませんか？という自主企画の作品です。 詳細はリンク先をご確認ください。 https://kakuyomu.jp/user_events/…

『第一回キャッチボール小説マラソン大会』によせて書きました。

「ケイカだ、見つけた」 下級生の男子に知らない名前で呼び止められた。それはわたしの前世の名前なのだという。 彼はわたしのことを前世からずっと好きだと言うけれど、それは本当にわたし…

雨の中、ダンボール箱で震える仔犬みたいな男子が、黒髪長髪占い師に縋りつくBLです。 草食ったさんのイラスト（https://twitter.com/koubutuhasakana…

・性癖：ガタイが良くて物静かな男／ガタイのいい男と小さな子供が仲良くしている様子／子供に対して一人称が『おじちゃん』のおじさん／結婚していなくて一般的でない仕事をしている謎の親戚…

中世欧風異世界ファンタジー。『塔の上のレイヴン』シリーズ本編。 第一部『魔犬と少年』：アイホルム大公家の公子クルトは、〈影の王〉の生贄に選ばれた。女大公ティアナはクルトをグレイヴ…

錯綜する時空に翻弄されつつも、人類は生き残りを賭けて戦う――喪われた科学が産み遺した、神の如き存在を駆使して。 家族にも明かせぬ極秘任務に就いていた夫を事故で亡くし、悲嘆に暮れ…

萌木野めいがカクヨムを始めて思ったこと、書いておきたい気持ちになったことなどを、たまに書きます。 重要なことは書いてありません。←重要！

　歩狼隊を率いる翡翠は、満開の枝垂れ桜の下で一人の妖と出会う。刀から銃へ、神の世から人の世へ。激動の時にありながら失われていくものを求める二人は惹かれ合うが、やがて時代の流れが全…

〈聖なる山〉をとりまく森の民の異端の青年サジタリウスは、みずからの望みを叶えるため狩人の験しに挑む。〈聖なる山〉は彼に名誉と力を与えるが、同時に新たな葛藤をももたらすのだった。 …

第二回銀縁眼鏡文学大賞に滑り込ませて頂きます。 モラルの薄い、いかがわしいお話なので閲覧ご注意下さい。 文体診断ロゴーンでは、太宰治、小林多喜二、松たか子の判定が出ました。 …

いつか、それが恋しくなる。 第二回銀縁眼鏡文学大賞参加作品です。 文体診断ロゴーン結果 1. 阿刀田高　86.7 2. 菊池寛　84.8 3. 芥川龍之介　83.8

「偽教授少女杯」に寄せて書きました。少女→若さ、純粋さ、刹那主義……などと考えていたらこうなりました。

lycanthropyは「人間が突然、狼に変身してしまう現象」。真夜中の宴に紛れ込んだ男の奇怪な体験。

大切な誰かをなくして 何年経っても その人を想う気持ちは変わらない。 詩集「Paradise lost」の「喪えないもの」 https://kakuyomu.jp/works…

リラの１３の誕生日にやってきた執事兼家庭教師のレフィは、花嫁修業よりも勉学と護身術に力を入れる変わり者。見目麗しい姿とたまに見せる甘い顔に、商家からの成り上がり令嬢のリラは、彼は…

第二回銀縁眼鏡文学大賞参加作品。 刑務所に収監されたミュージシャンと彼の弟と、面会室での一幕。 文体診断ロゴーン結果 1：小林多喜二 78.8 2：太宰治 75.9 3：…

「第二回 銀縁眼鏡文学大賞」によせて書きました。文体診断ロゴーンの結果は以下の通りです。 1 松たか子 81.3 2 宮沢賢治 80.3 3 阿刀田高 79.8 一応拙作…

　その骨董屋に飼ってある猫は願い事を何でも叶えてくれるらしい。その詳細は、誰も知らない。 　三千文字未満なのでサラリと読めます。 ※　こちらは 「まじない猫の恋模様」 htt…

あたしは黒猫。 骨董屋さんのお家に住んでいるの。 飼い主である店主の柳都が大好き。 でも、彼はそんなあたしの心を知らない。 全6,000文字以下の短編小説なのでお気楽にどうぞ。 …

これは恋愛作家の先生と私の、密かな恋のはじまりの物語。 第二回　銀縁眼鏡文学大賞、参加作品。 文体診断/1・森鴎外　2・芥川龍之介　3・井上ひさし 2022/06/09　大…

親戚の葬儀の場で出会い、毎回顔を合わせる明晴叔父と私。 身内との付き合いが少なく、周囲の事が何も分からなかった私は、年を重ねるごとに叔父の思いや事情を知り、そして大人になっていく…

保管室に安置したはずのミイラ男が突然起き上がって現れた。 男が要求してきたのは眼鏡だった。 第二回銀縁眼鏡文学大賞でちょっと思い付いてしまったものです。 文体診断ロゴーンの上位…

父母を失い、村から追い出されたアンは森へと入る。 “こどもは森へ入ってはいけないよ。恐ろしい魔物がお前を石にして食べてしまうからね” 第二回銀縁眼鏡文学賞、参加用。 (眼…

人類史上最古の眼鏡が、世界中を旅します。 最後に彼を手に入れたのは……？ 銀縁眼鏡文学大賞のためだけに執筆した本作。 文体診断ロゴーンによると、 1 阿刀田高 83 2 三田…

　巻き込まれ体質の青年•天瀬朔月と世話焼き弁護士•鳴島望の物語。 『第二回銀縁眼鏡文学大賞』参加作品。 文体診断ロゴーン（最初の5,000字を診断） 1.松本幸四郎　2.小林…

「昨日助けていただいた銀縁眼鏡です」そう言って、クラスメートの顔をしたそいつが俺の部屋で頭を下げていた。ちょっとした事故で落っこちた銀縁眼鏡を拾い上げた、その恩返しにやってきたの…

人間の文化を少し勉強したキツネが世評の高い作品たちをいっちょ前に解説していきます。

文体診断結果 一致指数ベスト３ 1 浅田次郎 80.7 2 小林多喜二 75.5 3 遠藤周作 70.8

人と魔獣の関わりをテーマにしたハイ・ファンタジー世界構築のための掌編集。不定期更新。

グループホームでぼくは岩橋さんとであった。 なぜか初めてあった気がしなかった。 「ぼくはあなたと友達でした」ぼくの言葉を操っているのは何なんだろう。

小説家である俺の妻は悩んでいた。 執筆中の子ども向け小説での、キャラクター造形に。 真摯に作品に向き合う妻を愛おしく思いながら、俺は仕事に向かう。 ※この作品は、自主企画『第二…

文体診断ロゴーン 一致指数ベスト３ １、小林多喜二 ２、松たか子 ３、浅田次郎

銀河辺境の宇宙コロニー。暗い星野を臨む店で、バーテンダーは給仕中に三人の航宙士たちの奇妙な会話を耳にする。鬱々としたようすの彼らは、どうやら死んだ仲間の弔いに百物語の会を催してい…

ミステリ界の新鋭・逸木裕の最新作は、ミステリ純度の高い連作短編集『五つの季節に探偵は』。“人の本性を暴かずにはいられない”厄介な性質を持つ女性探偵・みどりが遭遇した、魅惑的な五つ…

ペストの疫禍が遠のき、スペインの支配を逃れ、植民地貿易に沸くオランダで起きたその事件。 未曾有の好景気に沸く都市で、ひとびとの『余剰の金』と『自由』と『希望』を糧に育ったその花は…

ティラミスを食べながら、時の流れを感じるおはなし。 ※このお話は『月とレンズ』の番外編となる物語です。 https://kakuyomu.jp/works/168164522…