衞藤萬里

　異世界へ転移して勇者となった時野悟（ときのさとる）は、与えられた使命を果たして神様と対面していた。 　役目を終えた暁には、現代日本へ戻してくれと約束していたから。 　生まれ…

ある朝、私は七十歳の誕生日を迎えたことを機に、終活を思い立つ。親も子も夫もいない、一人きりの自由な終活が始まる。

都市伝説というものは、人々の口の端に上らなくなった時はどうなるのだろう？

※現在訴訟パートのみ公開中（理由は近況ノート参照） 『今回は無償です』と言い放って連絡を絶った依頼者。 小説の挿絵を受理したら払うと言われ納品したら、感染症の所為で現金がない…

華やかなステージから解放されるオフの日は、明子は行きつけの喫茶店へと足を運ぶ。 そこは懐かしいメロディと、忘れられない想い出の宿る空間だった。 自主企画用「筆致は物語を超えるか…

風香は「ありがとう」と言いたかった

生贄を捧げれば国を助けてくれると噂される「桜の魔女」。彼女が拾ったのは「生贄」の友達である三人の孤児。愛を知らない魔女は、ほんの気紛れで、その子供たちを育てることにした。 魔女が…

洋館を舞台にした短編です。 続きものではなく各話読み切りの短編集なので、どこから読んでも大丈夫です。

「君の願いは叶ったよ」 何を言っているのだろうと思っていると、後ろから突然ゴウ！と肌を焼く熱い風が吹いてきた。 思わずふり返ると、今さっき出てきた家から赤い炎が吹き出して全体を包…

　彼女はゆったりと湯船につかっていた。ピシャン、と水がはねる。 「久しぶりの風呂は気持ちがいいな」 私はその光景に目を奪われて、まばたきさえする事ができない。

原案・原作 親父(承諾済み) 作・キャラクター設定 娘の私 がお送りする、ギリギリなギャグコメディです。 ないないシリーズは一切関係ありません。 頭を空っぽにしてお読み下さ…

勇者側ではなく、魔王側からの視点で書いてみました。

老騎士ヴォルフは旅路の果てにいた。 戦に斃れた友から託された品を、彼の婚約者ハンナに渡すべく辿ってきた旅も終わりに近づいていた。 だが、あともう一息というところで、老騎士は盗賊に…

「死んでどうなる？お前の事なんか皆忘れちまうぜ？お前が死んだ理由も何もかも全て……へっへっへっ」 高層ビルの屋上で飛び降り自殺を図る一人の中年男性。 そこに現れた一人の少女。…

人生四苦八苦。 思うようにいかないように、生まれた時から決まっている。 生きることが苦しいと思った時は、流れに身を任せることも楽になる方法。 この作品は、『アルファポリス』『小…

18歳になった。 母の母国で生まれたから、時差によってラグが生じていた。日本での28日と、向こうの国での28日。 私には誕生日が2日あるような気がして、そんな馬鹿げた考えを残した…

一緒には死ねないと彼女は言う。 でも、死人ごっこなら良いよと彼女は笑う。 ——白いシーツ、花、水分、クッション(必要そうなら)、白い服…… これら全部用意して、死人になろう。

☆90、100pv突破！ 東京オリンピックが1年延期になった。けれども今年じゃないと意味はない。 だから先にこの景色を見せたい。今の私を見て欲しい

　私こと、松上左京は四十年以上刑事をしている。 　若い頃は『探索者』と呼ばれる程、不思議な事件にも何度か遭遇した。 　人智を超えた存在との遭遇、狂気の領域へと踏み込もうとする者達…

料理上手な母とお菓子を作り、食べるお話。 実話を元にしたフィクションです。

『光』、『空気』、『青空』、そして、『風』。 私たちを取り巻くのは、クオリアとしての言葉たち。それらは流転をつづける、時間を忘れ、すべてを置き去りにして、記憶の紙片になる、その時…

高校二年生の美晴は、先生に恋をしている。二人には体の関係があり、一緒に住んでいるが、彼女は美晴を恋人だと認めていない。 先生と生徒、十八の歳の差、問題はいくつかあるが、それらは美…

夢を目指した少年が、成長と引き換えに失ったモノは？ そして、齢を重ねて感じることは！？

女子進学高校の文芸部。

KAC2021 10回目：「ゴール」参加作品 　大学の合格発表の日、それは一年間の努力のゴールの日であった。一浪中の櫻川潤一郎は、その目で自分の合格を確認するために、第一志望の大…

◆◆KAC20219参加作品◆◆ 軍からの命により、ある村を制圧した一個小隊。だが後続部隊を待つ間に、一人二人と謎の奇病で命を落としていく。

おばあさんが待っているのは……

あんなにも愛していた妻が先立った 途方に暮れるぼくを支えてくれたのは、彼女のお姉さんだった ぼくらはやがて、互いを好き合って再婚する けれどそのときから、部屋の隅で骨壺が鳴き始め…

見えすぎる辛さをご存知かしら？

今から二十六年前、私はロス・アンジェルスにある日系紙「羅府新報社」の公募した新年懸賞小説に「ぬい」題した短編小説を応募し、第一席をいただいた。　私は、私の書いた小説の中で「ぬい」…

私のかけがえのないパートナー、ミミの最後はとても神々しく私に勇気を与えてくれました。

最終選考で投稿作品が落選した僕は傷心旅行で小豆島を訪れた。 海岸線沿いのコンクリートの上に僕はキリハ先輩を見つける。 ☆KAC2021 6回目お題「私と読者と仲間たち」 …

<KAC20217投稿作品> 僕には好きな人がいる。 中学生三年間、同じクラスだったあの子だ。 そんな彼女に幾度と想いを伝え続けたが、卒業を迎えた今日まで叶うことはなかった。…

創作をつづけていけば、他者の手がけたものを必ずどこかで見ることになります。 これは、創作を続けていたとあるふたりの人間が、自分や他人に向けた想いを打ち明け、それを通して⾃⾝の⾜…

「私ね、涼に手紙を書いた時から、ずっと嘘をついていたことがあるの」 「それは大事なこと？」 「うん。それはそれは大事なこと」 　小夜は少しおどけてみせた。 ※カクヨムコン6の参…

毎週土曜日の朝にパン屋に来る男性。この男性はパンを舐めるように見るだけでパンは買わずに店を去ります。男性はなぜこんなことをしているのでしょうか。そんな話です。

債権回収会社に勤める星宮航美は、業務上債務者を訪ねた時に事件に遭遇してしまう。第一発見者となった航美は警察で疑われてしまうが……

藤崎楓は妹、萌香の言葉に「ハッ」と気づく、それは当たり前すぎて気づかなかったとてもとても大切な事。

黒木騎士（くろきないと）と白石姫香（しらいしひめか）の日常はチェスで出来ていた。

　高校の文芸部員である僕は、毎日仲間たちと一緒にそれぞれの作品を読みあいながら、創作活動にはげんでいた。 　だが、そんなある日、僕は後輩の小悪魔系女子、ハルナに言われてしまう。 …

『重箱の客人（まろうど）』 東京愛宕下の古道具屋。年老いた店主が語る物語とは。

　その少女はいつでも、目を輝かせていた。 　何気ない日常は、どんな宝より、貴重であって、得難いものである。どうして俺はそれにすぐに気が付くことが出来なかったのだろう。どうして彼女…

バレンタインデーについての変な話です。

たくさんの可愛いものに囲まれて、ひぃばぁの思い出話を聞くのが、私は大好きだった。

両親に結婚したと嘘をついてしまった女。父の葬儀にやってはきたものの、家族との距離を測りかね――

おうち時間に玉子焼きを焼いている。 どんどん腕を錆びさせながら。 ずっと。 ある人の帰りを思い描いて。

道ばたに捨てられるように座り込んでいた彼を、私は連れ帰った。 自分のしでかしてしまった事に、思わず恥ずかしさに顔が熱くなった。