衞藤萬里

道ばたに捨てられるように座り込んでいた彼を、私は連れ帰った。 自分のしでかしてしまった事に、思わず恥ずかしさに顔が熱くなった。

　──骨はその人間のすべてなのだと思う。 　少年時代、病弱なお姉さんに一目惚れした『僕』は、毎日彼女のもとに通っていた。ある日『僕』は胸に秘めた想いを告げ、二人は約束を交わす。…

デパートで働く23歳の林鈴音(はやしすずね)はある日ヒーローショーの運営を手伝うことになった。楽屋で出会った50代のスーツアクター林京次郎(はやしきょうじろう)の紳士さに、彼女は…

どう、とらえればいいのか。これを書いたわたしでさえ、わかるようで、わからない。

康子の人生における、ある一日の、ほんの断片。その断片を描くのは、「わたし」ではありません。作中の表現のいくつかに、「わたし」は賛同しかねます。しかし「わたし」は、この作品の作者を…

筆者は、ある思春期の女の子の「内側」の記述をしました。彼女の考えのすべてを肯定することはありません。しかし、すべてを否定することもありません。なにより筆者は、写生と翻訳の難しさを…

　ぼくらがいつから存在しているのか。 　どこで生まれたのか。 　それはぼくら自身にもわからない。 　香鳴裕人さんの自主企画 [第2期] 同題異話SR -March- 『きみの物…

女子高生の入野美雪は、先輩の雨月幸太に恋心を抱いていた。しかし、自分に自信が持てず、思いを告げられないでいた。そんな彼女の前に、魔女と名乗る謎の女性が現れる。彼女は美雪に「人の好…

京都の夏の風物詩といえば、その一つに五山の送り火。 その日に市内を歩いていると、目の前に…… 八月十六日は京都市で五山の送り火が行われます。 それを題材にしたお話を作りました。…

(旧題：なろう作家の火村君は、コピーライターから、小説の売り込み方を学ぶようです) 「コピーライター？なんすかそれ」 「簡単にいえば『お客を得る』ための文章のプロだ」 (おか…

ふとした決断、偶然の出来事、この世の終わりを４行で。

アルバイトを終えた私の携帯電話には、5件の留守番電話メッセージが残されていた。 その時、私は道端に落ちていた姉のキーホルダーを発見する。 不審に感じた私は姉に電話をかけるが、繋が…

同級生の桐生景虎君は、悪い人ではないけど適当なことを言って相手を煙に巻いてばかりの、人となりがよく分からない不思議な人だった。 ある日私は、彼が廃部になったスケート部の部室の鍵を…

瀧の上に暮らす村人たちは知らない花霞の奥深く。 ＊自主企画用の書き下ろしです。

最近隣の家に引っ越してきた浩平という男の子。いつも暗くて俯いてばかりのその子と仲良くなりたい私は、贈り物を贈ることを決めた。 だって、もうすぐバレンタインだから。

深夜一時の公園で、オオカミに出会った。そのオオカミは怪我をしていた。 人狼のお話。

世界は今、異世界からやって来た悪の組織によって侵略攻撃を受けていた。 だが、ヒーローと呼ばれる者達が悪の組織と戦い世界の平和を守っていた。 そして悪の組織は一度世界に身を潜めなが…

真面目さで友達を作ることはできない。 教室ではうまくいかなくて、逃げ込むのは図書室だった。 辞典類に紛れて差し込まれた小さなノートがわたしの救い。顔も知らないその子と、飾った言葉…

食事を摂り損ねてツンツンしながら飛行機に乗った男と、その後ろの座席に座っていた女の話。

　中学まではぼっちで過ごすことが多かった主人公・岩本春樹は、ラノベ的なぼっち主人公ハーレムを夢見て、高校でもぼっちを貫くと決意する。 　そんな彼の夢が叶ったかのように、入学早々…

修学旅行最終日、あいつがやって来る。

気付くと窓も無く、プルガトリウムと書かれた扉が一つだけの見知らぬ部屋の中。 自分の他に男女が五人。 粗暴な若い男。 駅員の様な制服姿の中年の男。 足の悪い年配の女性。 小学校低学…

　かつて人類史上最高のＩＱ３００ともされながら目立った功績を残せず世を去ったウィリアム・ジェイムズ・サイディズ。彼は、何かをやり遂げるべくクローンに夢を託していた。 　その四代目…

本邦一の名探偵・喜志岸剛志の事務所に久しぶりに訪れた客は、大財閥からの使者。 「5000人いたメイドがいつの間にか30人に減っているので急ぎ原因を調査して欲しい」との奇妙な依頼に…

その魔女は魔法を求められると「そんな都合の良いものはこの世にない」と嘯いた。 魔女にはたくさんの生徒たちがいたが、生徒たちにも魔法を一切教えなかった。 魔女は知っていたのだ。 人…

　あらゆる世界が誕生した、始まりの日。運命の歯車も形を変えた。魂核(こんかく)と呼ばれる玉ころが、世界の狭間に落ちていく。 　千年単位の時を経た。絶えず、運命をつむいできた歯車…

　高校生活に一番必要なものは何だろう？必要なものは恋愛。つまり恋人だろう。俺は生まれてこの方彼女がいたことはない。 　なので高校では彼女を作って楽しい高校生活をおくりたいのだ。…

それも全て運命で、その運命すら演出で。

クイーンは、悪役派遣会社『ヴィランズ』の社員。白百合姫という可憐なヒロインのもとへ継母として派遣されてきた。仕事とはいえ、可愛くて愛らしい白百合姫に意地悪をしなくてはいけないのは…

高校生の彩希と花音は放課後によくカフェを訪れる。この店でバイトをしている藍くんに花音が一目惚れしたからだ。 親友の彩希は、藍くんの側も花音に思いを寄せていることに気が付いていた。…

旅する機械猫のお話。

明日は卒業式だから、あの子に告白したいけど……。 なろう様の方にはタイトル『弱虫』で、内容はほとんど同じ別バージョンがあります（←そのままにするか迷ったのですが、キャラを変…

泉の底から、頭に斧の刺さったおっさんが出てきた。 頭に刺さった斧は伝説の斧だそうで、どうやら世界を救う勇者にしか抜けないらしい。 そしてなんと、僕はうっかりその伝説の斧を引き抜い…

無慈悲で醜悪な巨大生物によって、征服された世界。 必ず無事に戻るって、約束する。君のために。

妖精の世界を助けて欲しいと頼まれたお人よしの青年と妖精ララの物語。

この地球が舞台のお話です。 クレアは、優しい、女の精霊。 主人公は、気の強い男の精霊。 【ニンゲン】がどんな存在か、読んで、確かめてください。

私が生まれた日、母が言った。 「二人もいらない！」と。 その日から私は、双子の姉の影武者として生きることになった。 存在しちゃいけなかった存在。 生まれてきてごめんなさい。…

高校一年生の智恵美は、毎朝同じ電車になる彼と仲良くなりたいとお姉ちゃんに相談。 お姉ちゃんはそんな智恵美に超古典的な落とし物大作戦を授けます。しかも今ならおまじない付！ 底抜けに…

人との繋がりが糸となって見える少女、紬。 彼女は、とあるきっかけから自分のこの力が大嫌いになっていた。 そんな中、不思議な青年ナナシと出会う。 それは彼女の人生を大きく変え…

夏のかわいい魔物に釣り上げられた引きこもりのお話です。

もしも人の一生が一冊の本にたとえられるならば。 私のおばあちゃんは栞(しおり）をはさむのがとてもじょうずな人だった。 おばあちゃんにお話をねだる、あの頃の私は「しおり」の意味も「…

ジュブナイル・シンドローム【少年期症候群】 十代のうちに死ぬ。そしてそれがいつなのか、僕らは知っている。 それが僕たちの抱えた、誰にも治せない病の全て。 そんな理不尽で無慈悲で美…

主人公の川緑清は　理工系大学を卒業後に塗料メーカーに入社します。 彼は　配属先の工場で　仲間達に助けられ　仕事の成果を上げます。　 成果を認められた彼は　新規樹脂材料の開発を任さ…

「[第2期] 同題異話SR -Dec.- 『雪待ちの人』」に向けて書きました。最終日になってしまってすみません。 皆様、よいお年を。

画家だった祖父の足跡を探して訪れた修道院にて、私はひとつのメッセージを受けとった。 それはまるで、遠く時間を隔てて、祖父から届いたもののように思われた。

『俺』は変化が嫌いだった。毎日が同じことを繰り返していれば満足だった。 だけど『彼女』が突きつけたのは、そんな俺への別れだった。 俺は、彼女の正体を知らなかった。