小説を書き始めてからずっと思っていたことがあります。
きっとこのお話を好きな人は何処かにいる。その人達に届けばいいのにな。
できないと思ってました。偶然以外で手にとってもらう方法などないと思ってました。
でもここに書かれていたのはその方法でした。正に目から鱗。
「売る文章術」というのはつまり物語を届ける為の方法です。
誰の為の物語なのか。どんな人に手に取って欲しいのか。そのために何をすればいいのか。
この物語はそれを考えることの重要性とそのための方法を、分かりやすく教えてくれます。
本当は誰にも知らせずに独り占めしたい位の秘密の数々。
これは誰かに自分の物語を届けたい私のための物語。
そしてきっと、同じ思いを持つ貴方のための物語です。
この指南書で、特に良いところがある
『基本、問題には一行で解答してくれている』ということだ
「長ったらしくてよくわからない」とか「結局、どれが作者にとっての正解なんだ?」と困惑することがほとんどない
下を見ればわかるように、ほぼ一問一答で解決している
Q.なんで自分の作品に人気が出ないんだッ!
A.売り込む力がないからだッ!
Q.客は小説になにを求めている?
A.感情を揺り動かされることだッ!
Q.小説の強みってなんだ!?
A.製作コストが安いことだッ!!
ほらこの通り、一目瞭然である
「読んだは良いけど、作者の主張が読み取れない」「どうして読まれないのかわからない」という人には非常におすすめできる作品だ
この作品を読んで実践した作家は、駄作を書く確率が徹底的に下げられるだろうと思う見事な教科書です。
これを読めば「売り上げを作る」という結果を第一に考えるコピーライターの技術は、作家業にも十分に応用できると納得できます。
実はコピーライターの技術は「客の感情を揺さぶり物を売る」事が目的のために、流行り廃りがあまりなく、使う場面を考え調整すれば、時代に関係なく普遍的に使えます。
その特性を見事に小説家用として落とし込んだこの作品は、作家の指南書であり、手本であり、回答例になっています。
書ける作品を探す指標、題名や粗筋の作り方、欲しい読者を得るための工夫等々……書く側に立つ人が見るべき要素だけで、しかも判り易く構成されているので、読まないのはただ単に損ですよ。
そして、読み終えた後に「読んで学んだことを使って作品を書くために実践例として見直す」と新たに学べる箇所がまだあるという驚きを是非とも味わってください。
星2なのは自分が書く側にいないのと、「なろう」ベースなので読む場所を考えると変更点があるかなという事でのマイナスなので、実用書としての評価だけなら間違いなく星3です。
ウケなくてもいい、というのは、ちょっと語弊があるか。「自分の性癖が刺さってくれる人」を求めている感じである。
ただ、結局のところその人も他人なのだ。他人である以上、作者と同じ視点は望むべくもない。
ならば、「他人の視点」とは何なのか? そのヒントが、この作品には詰め込まれている。
作中に出てくる内容として、「ターゲットは集めてから切れ」と言うものがあった。ひとまずは集める。そのうえで、適合する人にだけ残ってもらう。ここが出来ていないのならば、そもそも性癖に刺さる、もクソもない。
「読んでもらいたい」欲求がなきゃ、こんなサイトに作品投下してねえはずである。「わかるやつにだけ、わかってもらえればいい」? そもそも「わかるやつ」に、自分の作品は存在を認知されてますか?
「わかるやつ」に、いかに届けられるか。そこの努力が、全然足りてなかった。そんなことを、読みながら考えさせられました。
さて、自分の物語。自分以外では、誰に届けたいんだろうね。