主人公は祖父母の代から続いているパン屋で、毎日働いている。そのパン屋に、いつもパンを買わない男がやってくる。男は髪はぼさぼさで猫背。おまけに絆創膏だらけの指で、けして衛生的に見えない。そんな男は、上下二段になっているパンの、下の段のパンだけを、舐めるように見て帰る。絶対に買わない。主人公はこの男を警戒し、不気味がっていた。
一方、このパン屋にはかわいい常連がいた。幼い男の子と女の子だ。御遣いにはまだ早いと思われるこの子たちは、決まって同じ種類のパン二つと、毎回違ったパン一つを買っていく。同じ種類のパンの内、買っていくのは辛いカレーパンだ。大人でも辛いカレーパンは、親が食べるのだろうか。主人公はいつも不思議だった。
果たして、男の正体は?
そして子供たちが買うパンの秘密とは?
ちょっと切なくて、ほっこりするミステリー。
是非、御一読下さい。