「御縁 短編」を含む小説

人間模様と神明社のある町の風景美、そしてなによりも文芸的なテイストに重きを置いた短編作品群です。オムニバス形式で紡がれる神明社や古社の見える風景と物語。地域を題材にした賞コンテス…

負け犬で故郷に帰ってきた僕の思い。でもそれは僕の思い違い。彼女と再会して、かつての自分と対面する。それは湘南の潮風と神明さまに祝福された凱旋帰還だった。

　浅草で知人と会い、力になるお人好しの鮭野津真巳。男を上げるとどうなるのか？　第二話の珊瑚梢子の甘酸っぱい鍵をかけた過去回想に、織姫さまはご縁を結ぶのか？　あるいは沙織のお手柄か…

紺部慎は、高校時代に告白された三馬亜佐美と再会する。思い出の神明社の横にある公園で、昔話をするのだが、その先にあるのは鈍感な慎の勘違いだった。二人は七年前のお馬鹿な自分に仕切り直…

中央線の阿佐ヶ谷。賑やかな若者街と庶民感溢れる東京の住宅地。その町に住み、帰宅する伊香純夫は元カノに再会する。今の彼女のトラウマを克服できる偶然はすぐ近くにあった。恋愛と友情、彼…

横浜を見下ろす街の神社、その神明社を今訪れた、自分の人生を嘆く若者。大学受験を苦にする彼を同じ立場で包む元クラスメイト。些細な過去の人生の断片を思い出せる今。おかげさまと言える今…

千葉県船橋市にある神明社を舞台に、洋食店の仕出し弁当に惚れ込む戀。ぽろりと出た一言。ご縁を結ばれた相手はその言葉を受けた運命の人だったのか？

祖父からお弁当屋さんを受け継いだ明日菜。偶然中学の同級生だった梶家はその店の前を通る。それは八幡さまのご祈祷の帰りだった。久しぶりの明日菜は見た目こそ以前と変わらず美しかったが、…

高校時代に新聞部だった鮒来、軽音部だった波瀬川、二人は十年ぶりに氷川大社で再会する。高校時代に借りていたものを鮒来が返すため、そして約束を守るためだ。大人になった二人の間には友情…

会社の大先輩鯨井。若い時分からお世話になった彼。何も言わずに早期退職してから十数年。所属する文芸サークルでその孫娘と出会う蟹江。そこには恋愛と同等の想いに満ちた懐古感があった。

五年ぶりに再会した由佳は、駆け出しのピアニストになっていた。日常に埋もれた鱒沢の人生は彼女の夢を分けてもらうことで潤いを取り戻す。伴侶となった二人は、三十年がたった今でもあの日の…

透明の耐熱カップの中で、ベトナムコーヒーが抽出されてゆく。 「コーヒーが落ちきるまでに、決めて」 遠距離恋愛中のほとんど会えない先輩か、近くで寄り添ってくれる今里くんか。 １杯の…

　一升瓶が５円で満たされたら結婚するはずだった僕と彼女がふとしたことで…… 今は半分満たされたままの一升瓶が僕の心を締め付ける。 　あれから数年が経った。 今でも『愛の一升瓶』は…