ベトナムコーヒーが落ちるまで

作者 砂村かいり

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★★★ Excellent!!!

時間の流れとともに変わってしまうものはあると思う。

変わることを儚いと思うか、憎いと思うか、仕方ないと思うのか。

人の心は繊細で、環境や周囲の人に感化されやすいものだ。

だからこそ、自分が大切にしていることを日常から考えておかないといけないし、自分を持たないといけないのだと思う。

でも恋愛において、それは難しい。

自分の好きと同じ分だけ、相手も自分を好きでいてほしいと思ってしまうから。

この作品は、まさにその想いが詰まっていて、誰しもが思うであろうことを描いている。

好きだからこそ、自分の想いを押し付けたくなってしまう。

同じように、同じ厚みと重さで自分を包んでほしいと思う。

思っても、なかなか叶わないのが恋。

結局、相手がなにを考えているかなんてわかりっこないし、相手の環境に身を置けるわけでもなければ、置いたところで共感できるかさえ、わからない。

正直、社会人1〜3年目って、ほんとキツイ。

ヒロインの彼がどんな仕事をしているかわからないけど、彼の気持ちが痛いほどわかる。

あれは、経験したことのある人にしかわからない。

ヒロインの気持ちもわかるけれど、彼の気持ちもわかるゆえに、悩ましい。

どっちの立場でも、頭を抱えてしまう。

いい意味で生々しい物語でした。

人の気持ちって難しいですね、ほんと。

★★★ Excellent!!!

 本式のベトナムコーヒーは私もたまに飲む。しかし、本作はその甘味とは裏腹だ。主人公の恋人がブラック企業にいいように押し潰されているのは自明だろう。生真面目な若者を食い物にする、企業の名に値しないクズ組織。近年、ようやくそのクズさ加減にメスが入れられるようになった。そして、主人公の恋人も、クズに人生を捧げる愚かしさに気づいたようだ。最後の一文はそう確信している。

★★★ Excellent!!!

ベトナムコーヒーにつられて読み始めました。
胸がぎゅっとなるような、素敵な作品です。

言葉はこびが秀逸で、するっと心の中に入ってきて、思わず微笑んでしまうようなやわらかな言葉です。

読みながら、ベトナムコーヒーの香りが鼻先に掠めたような気がします。
この後の展開が気になる、良い終わり方でした。
私だったら、どうしただろう。

★★ Very Good!!

遠距離恋愛で会えない彼氏と、近くで優しくしてくれる男との間で揺れ動く主人公、というお話。
しかし心理描写がとても巧みで、色々と考えさせられる、まさに「ベトナムコーヒーのように深くて甘い」お話です。
余談ですがこのベトナムコーヒー。透明なカップに入れると、白と黒に分かれるんですよね。どちらかを迫られている暗喩になっていて、奥が深いなぁと思います。
さてさて、このお話の結末は?
私はこの終わり方が、一番しっくりくると思います。皆様も是非ご賞味あれ。