「家族・親子」を含む小説

毎週土曜日、穂香は同じバスに乗る。 認知症を患った父に会いに、老人ホームを訪ねるのだ。 多くの記憶が抜け落ちてしまった父の頭に残っているのは、大好きな将棋のことだけ──なのだろう…

夫を亡くしてから息子を女で一つで育てた私は、お盆に赤いきつねをお供えして緑のたぬきを食べるのがお決まり事でした。

「ねぇ？　おかあさん？　一番強い動物って何？」 寝つけぬ子供の純粋な好奇心に、母親は真摯に答え続ける。 ありったけの愛情をもってして……。 優しくも切ないＳＦ掌編。

半年前、長年連れ去った妻が急逝した。 五年前に家出した息子は、もう帰って来ないだろう。 一人で過ごす年末年始、年越し蕎麦の準備を忘れた男の話。 「赤いきつね」「緑のたぬき」幸せ…

彩、25歳。 亮、17歳。 血の繋がらない親子の物語。 この作品を読んで、少しでも心が温かくなってくれたらいいな〜と思います。

　真っ暗な雨がフロントガラスをたたいている。そのままへばりついた水滴は、ヘッドライトの明かりを浴びて、おどろおどろしく光る。 　とし子はワイパーを忙しげに動かし、それらを振り払い…

祖父は組の為に散った。父は組を思って組から追い出された。彼らの血をひく橘清美は自らの行く末に苦悩する。 元ヤクザの放浪者と人間嫌いの引きこもり少女が、ある条件のもとに結ばれて橘…

「いつ迎えにくるの？」 「……あの桜が咲くころにね」 母親の約束は果たされることなく、子供は大人になった。 突然の連絡。死ぬ前に会いたいという親からの言葉。会うか会わないか。葛藤…

広い世界のどこかで起こった親子の物語。

本作はとある王様がとても難しい選択を迫られるお話です。作中で正解は示されませんし、そもそも無いと思います。きっと読者様の数だけ正解があるのでしょう。 たった２０００字ほどの短編…

中学二年生の弥生には、ある悩みがあった。 ある日、母親の元彼が家に転がり込んできて、同居することになってしまったのだ――。 ※本作品はフィクションです ＜初出＞ エブリスタ…

夫婦両方の実家がある秋田の横手に里帰り出産で帰ってきた、一晴。妹のできた息子、日向。横手の雪まつりに行くまでの間、庭で遊んでいると日向は転んでしまう。

学校をとある理由でさぼった私は、壁にひたすらペンキで落書きを続ける少女と出会う。 少女にも、私にもまた、そこへ逃げてきた目的があった。 「わたしね、せんせいのこと、きらいっていっ…

イラストレーターの琴（こと）は、父の三回忌を機に、飛び出した家へとフィアンセを連れて舞い戻る事になる。父の遺品整理を母に任されるが、ピアノと家を捨て絵の道を選んだ負い目がある琴。…

支配と被支配。 短編です。

【父は『か弱い子どもを加護する立派な父親』であることこそが自分の役目であると、誰よりも優先して子どもを守り、子どもから信頼され、自らも子どもを愛さなければ自分に存在意義などないと…

「へびふくろう座文学賞」によせて書きました。

奨学金の返済のために風俗で働く愛佳。 1年働いてお金が貯まった母親に返済しようとした時、なぜか母親が泣いていた。 その理由は・・・。

失ったのか奪われたのか 奪ってしまったのか

元モテ子ちゃんだった津島さゆり。ところが小学五年生の娘まゆみは、真逆の非モテ女子だった。そろそろお洋服でもおねだりしてくれないか……さゆりがそう思っている時、まゆみが口にしたのは…