「風 純文学」を含む小説

昭和二十年、京都、夏。売れない小説家の男――『私』は風に飛ばされた原稿を追いかけて侵入した洋館の庭で、奇妙に美しい娘と逢う。娘が原稿用紙をなぞると、小説の一節が紙から剥がれ、娘の…

これは、独りの人間と一疋の小猫の冷たくも心温まるクリスマスの特別な物語。

陽国有数の財閥である市原家の次男・武雄の冷え切った心を溶かしたのは、使用人のアキラだった。アキラは数十年前に世界大戦を起こしたゼンビア国の出身で、常にその罪を被ったようなほの暗い…

強く望む子供の元には来てくれるのかもしれない。

サンタクロースが命をもたらしてくれた。

カルヴァドスが、手から滑り落ち、床で砕けた。ああ、半年前のあの時も、こんな風にグラスを落とした。

登場人物 ・水無月夕貴 横浜のナルシス。同性愛者で、女を愛する事ができない。 繊細な内面を持ち、美貌と詩と音楽の才能に恵まれる。 ・俊 ヒアキントス。美少年の高校生。 夕貴と、…

　あらすじ ※中程度のネタバレが含まれますので、作者としては、あらすじを見ずに本編をお読みいただくことを推奨いたします。 成木草介は仲のいい友達から恋愛相談を…

私の脳にはいつの日からか何かがいる。 いまだに苦しめてくるナニカ。 そのナニカが私を苦しめた日々の話。 五話公開。

純文学です。 筆者は全ての長期入院に反対します。 途中の入院日記風の大変長い表現も、最後迄読んでみて、後になってボンヤリと問題を把握する手がかりになって頂けたら、筆者の小説として…

禁じられた恋を胸に秘める日々。あるとき、彼女と二人きりになった。

決して陽が沈まぬはずの世界で、今、太陽が西に傾き始めた。伝承によれば、あの夕陽が沈んだとき、この世界は滅びるという。慌てふためき絶望する僕を、ひとりの女性が誘う。「夕焼けを見に行…

『宜しければ、私と一緒に死んでは頂けませんか』 本作は、生きる理由を失い、憂悶の日々を過ごしていた男と貧困が故に治すことの出来ない病に絶望していた女性の最期に紡ぎ出した現代ドラマ…

文学風ショートショート。 人はいつだって空を見上げて、勝手に心を預けている。 そんなお話。 ※投げ銭アプリなどでの使用OK。 ※作者名は明記（厳守）。 ※アーカイブにする場合、…

　辻で出会った花椿。 　それはうつつのものか、はてさて、六道の辻あたりから飛んできた幻を見たものだろうか……。 　日もとっぷり暮れかかる逢魔時。子供の頃なら一陣の風に物の怪を感じ…

「夜の一時三十分をまわりました。十一月九日木曜日、ここからは、『夜風のRADIO』のお時間です！」 勉強机の上のポータブルラジオが、肌寒い夜に彩りを与える。