概要
ステンドグラスがきれいな教会でした、と彼は言った。
五十をいくつも過ぎてから、いまさら小娘のように恋に振り回されるなんて、思ってもみなかった。サイボーグ化は当たり前、生体部品の交換もすっかり一般市民の手に届くご時世に、偏屈女と笑われながら、アンチ・エイジングさえ頑なに拒んできた。年甲斐もなく恋に一喜一憂する世の女性たちを軽蔑さえしていた。それだというのに。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!未来のあるとき、仮想空間の図書館通いが偏屈な趣味と呼ばれるご時世に、
老いて役立たなくなった肉体のパーツ交換は
介護より優先的に行われる医療的措置であり、
世界中のどの国でも、生まれてきた子供には
《チップ》を埋め込むことが義務付けられている。
そんな未来の時代には、情報は《チップ》からDL。
文字情報を逐一目で追う読書などという趣味は、
ひどく懐古的で風変わりで、骨の折れることだ。
わざわざ仮想図書館に通う変わり者も多くはない。
そんな仮想図書館で53歳の「わたし」が出会ったのは、
古典ばかりを好んで読む25歳の美しい青年、サイトー。
若作りも恋も頑なに拒んできた「わたし」だったが、
サイトーに惹かれてしまう気持ちは否定できなかった。
本作を通して、改…続きを読む