概要
初めて書き上げた小説です。
以下は全員偽名です。
伊藤瑠夏
長谷川慧
中村朱里、中村理沙、中村朝文
金子由香
吉原和希、吉原英昭
山口潤夏、佐藤優夏、佐藤貴子、佐藤征司
伊藤湘汰
Mに。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!安易な「解決」を用意してくれないリアルな雰囲気小説
まず、本作は起承転結のはっきりしたエンターテイメント小説と呼ばれる部類に属する作品ではありません。じゃあ純文学かと言われるとそれも違う気がします(そもそも僕は純文学とは何ぞやというものを理解していませんが)。雰囲気小説、というジャンルが一番しっくり来るでしょうか。昼と夜の境目を迎えた仄暗い海岸を物思いに耽りながら一人歩く。そういうえも言えぬ雰囲気を楽しむ小説です。
透明で繊細な散文詩のような文章にはどこか浮き世離れした美しさがあり、なのに物語はどこまでもリアルです。単に離婚や鬱病などの重たい問題を扱っているからリアルというわけではありません。その重たい問題に物語的な「事件」、そして「解…続きを読む - ★★★ Excellent!!!大人向けではありますが、一読の価値は十二分にありますぜ!
二度の離婚を経験し、鬱病に苦しみながらも新たな出会いにより前を向いて歩いていく。そんなひとりの女性視点で描かれた物語です。
熱帯魚。これがキーポイントになります。
まるで大人向けの映画のようなとても洗練されたお話です。
日常を細かく描写されているのですが、いわゆる生活臭さが感じられず、かといっていかにも取って付けたような情景描写でもありません。
さらりと自然に描かれており、ゆえにこの物語が読み手の共感を抱かせるものになっております。それだけ高度な文章力が駆使されているわけです。
ややもすると下世話なお話になりかねないのに、むしろ頭に浮かぶ映像はとても美しく、このまま一冊の本として発行さ…続きを読む - ★★ Very Good!!holoholo、素敵な言葉を教えて頂きました
まるで、誰もいない早朝の蒼い海のように。
或いは、誰もが去った夕暮れの赤い海のようで。
淡々と読み進めていけば、文章の隙間にさざなみがあり、行間の隙間には打ち寄せる波がいつまでも繰り返していく情景が浮かぶ。
水面に身体を浮かべたような作品だった。
ただゆらゆらと、人は、命は、漂いながら、世界に、海に、水に、還っていく。
繰り返す波打ち際を歩むような作品だった。
振り返れば、砂の足跡が残っていたり、消えていたり。
人生とは不確かで、それでも生きて、続いていくことを意識させられる。
ほろほろと、ふと油断すれば小さな雫が目の端からこぼれ落ちそうになる。
holoholo…続きを読む - ★★★ Excellent!!!生きることへの希望を信じさせてくれる。不思議な力強さを湛えた作品。
一息に読みました。作品の世界に引き込まれ、あっという間でした。
淡々と語られる文章の中に、痛みを伴う現実が溢れています。
息をすることさえ辛いような時間。それでも、息をしなければならない。眠らなければならない。——明日のために。自分が支えるべき者のために。
自分が支えなければならないものに、実は支えられながら——。
そして、闇が少しずつ明るくなり——また陽射しが輝き出す。
生きることは、一筋縄ではいかないのだ。
そして…自分の目の前を闇が覆ったように思えても、それはいつか必ず去って行く。
どんなことも変わり続ける。一時も同じ場所へ留まることなく。
生きることそのものを、包み隠さず描き…続きを読む - ★★★ Excellent!!!海辺の波は拒めない。悲しみも喜びも漣と共に浮かんでは消えてを繰り返す
目に映る一つ一つのものに投影される悲しみの切実さ、終わっても整理できない気持ちが延々と続いていくこと、沈んだ気分の中でも娘はそこにいること、思い出してしまう過去のどうしようもないけど大切なこと……。
傍にいる人をどうしようもなく好きになって、そして離れる時も嫌いになりきれない気持ちが、一貫して切々と伝わってきます。
それらが静かに、夜のさざ波を思わせるように、綴られていきます。
好きなものは増えるばかりで、離れてもそれらに縛られる。優しさの表裏とでも言うべきでしょうか。でも、そんな情で身動きがつらくなっている人多いと思うんです。
読者によって合う合わないはあるかと思いま…続きを読む