生まれて初めて睡眠導入剤というものが処方された。

 まずスマートフォンのアラームをかける。アラームで起きれるのだろうか。それとも。眠れるのだろうか。


 朝と昼の薬でかなり眠くなる。夜に処方されているパキシルという錠剤と少量の安定剤を飲む前に眠ってしまう日もあった。「パキシル、がいちばん大事な薬です」と先生は言っていた。多分これが抗鬱剤なのだろう。毎晩、早い時間から眠くなり寝てしまっても夜中に目が醒める。そのまま眠れずに小一時間程起きている。それが一晩に数回繰り返された。

 前回まで拒否して安定剤を処方してもらっていたが、今日は自ら眠れる薬を頼んだ。結局、初めて眠剤を飲んだその日も二回目を覚まし、二回目の五時過ぎから起きていた。毎晩三回以上繰り返していた覚醒が二回に減ったのは、薬の効き目なのかもしれない。


 六時三十分にアラームが鳴り始めた。一時間以上前に起きていた私は、今頃アラームを鳴らしているスマートフォンに何の感情も持たずに画面をタップして音を止めた。

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