7
生まれて初めて睡眠導入剤というものが処方された。
まずスマートフォンのアラームをかける。アラームで起きれるのだろうか。それとも。眠れるのだろうか。
朝と昼の薬でかなり眠くなる。夜に処方されているパキシルという錠剤と少量の安定剤を飲む前に眠ってしまう日もあった。「パキシル、がいちばん大事な薬です」と先生は言っていた。多分これが抗鬱剤なのだろう。毎晩、早い時間から眠くなり寝てしまっても夜中に目が醒める。そのまま眠れずに小一時間程起きている。それが一晩に数回繰り返された。
前回まで拒否して安定剤を処方してもらっていたが、今日は自ら眠れる薬を頼んだ。結局、初めて眠剤を飲んだその日も二回目を覚まし、二回目の五時過ぎから起きていた。毎晩三回以上繰り返していた覚醒が二回に減ったのは、薬の効き目なのかもしれない。
六時三十分にアラームが鳴り始めた。一時間以上前に起きていた私は、今頃アラームを鳴らしているスマートフォンに何の感情も持たずに画面をタップして音を止めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます