海辺の街、アクアリウム、猫、一人娘、友人たち、心の均衡を失った主人公。アンニュイで淡々と進む文字は、映像を観るようでありながら、言葉として澱を成す。そして、どんなに人に傷つき疲れても、人は、人なしでは生き続けられない生き物で、それでいいんだと──読み終えてから思わせてくれる作品でした。
まず、本作は起承転結のはっきりしたエンターテイメント小説と呼ばれる部類に属する作品ではありません。じゃあ純文学かと言われるとそれも違う気がします(そもそも僕は純文学とは何ぞやというものを理解してい…続きを読む
二度の離婚を経験し、鬱病に苦しみながらも新たな出会いにより前を向いて歩いていく。そんなひとりの女性視点で描かれた物語です。熱帯魚。これがキーポイントになります。まるで大人向けの映画のようなとて…続きを読む
一息に読みました。作品の世界に引き込まれ、あっという間でした。淡々と語られる文章の中に、痛みを伴う現実が溢れています。息をすることさえ辛いような時間。それでも、息をしなければならない。眠らなけ…続きを読む
コルクボードに無造作に張られたセピア色の写真、何枚も張られている写真の1枚、1枚を眺めているような感覚に陥る。その1枚、1枚に本人しかわからない思い出があり、その思い出を少し共有している自分がいる…続きを読む
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