泣いたのは「ぼく」ではなく、「僕」

「ぼく」の世界は狭く、だからこそ暗く、そして「ぼく」は弱かった。
しかし「ぼく」はじいちゃんに出会い、変わっていく。次々と起こる出来事、その全てを知っている大人の「僕」が時折リードするため、自然に引きは強まり、ページを捲らせる。
何度もじんとした。

避けないことを選んだ「ぼく」の、最後に見せる強さは、まっすぐで、むき出しで、痛烈で。
涙は、抱き続けた「ぼく」の想いを、鍵とともにようやく解放した「僕」のものだったのだろう。
この作品を読み、繋がりや、人の道について、今あらためて思いを廻らせている。

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