概要
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- ★★★ Excellent!!!この中の会話こそがラビリンスかも⁉
学校や教育にスポットを当てた尖った作品です。会話形式の短編ですが、話されている内容は現代社会への風刺が効いていて、誰もが身につまされるものばかりです。
この作品で一番刺さったのは、「他人への評価とは、評価者の器を評価されるのと同じ」という主旨の言葉でした。小生は評価するよりも評価される側だと思っていたのですが、よく考えて見ると買い物をするとき等、何かサービスを受け取る機会は多いと気付きました。そしてそのサービスを受けている時の態度や言葉が、無意識の他人への評価になっているのではないか? と思いました。
今を考えさせられる一作でした。
是非、御一読ください。 - ★★★ Excellent!!!会話の切れ味で教室の矛盾を射抜く。優しく辛辣な青春風刺劇、超傑作級!
著者の観察眼と論理の切れ味は痛快で、会話だけで学校という小さな社会の歪みを次々に見せます。皮肉は辛口でも当事者を笑いものにせず、読後に考える余白が残るのが魅力です。「校則」ではポニーテール禁止を『先生側の本音』と逆手に取る転回が冴え、「セレモニー」は『夏休ませず』や闇授業、AI謝罪までを軽妙に総括。「多様性」では黒スプレーやソックス管理が看板とのねじれを露わにし、「協働性」のA・B・C問題は『人を測ることは測る側も映す』へ着地します。あとがきのラビリンス/メイズの区別が題名をやさしく回収し、「諦めず進めば出口に届く」という灯りを手渡す一編。章頭に一行リードを添えると初読者にもさらに親切。知性…続きを読む
- ★★★ Excellent!!!『学校』という名のロボット製造工場
学校という箱庭の中で周囲の人々から少しでも足並みが外れると『異端者』扱いをされる。
例えば、栗色の天然パーマだとか。
例えば、見た目が良いとか悪いとか。
例えば、学校側に『提案』をして現状を良くしようと動く先駆者だとか。
人間──特に日本人はいい意味でも悪い意味でも足並みを揃えたがる。
まるで軍人のようにごく僅かの乱れさえも許さない。
社会というものは、表面上では心地の良い言葉を並べていてもそれは
「変わるのが怖いから、そのままでいてね。その代わり、少しでもズレたら皆であなたを批判するから!」
と、遠回しに脅しているようなものです。
いつになったら、『異端者』が『異端者』と呼ばれずに…続きを読む