多様性
「うちの学校、文部科学省のモデル校に指定されて補助金ゲットしたらしいね」
「校長先生、Good job! 」
「テーマは『多様性と包摂の探究』なんだって」
「そういえば、明日は身だしなみ検査だね。美容室でストレートパーマとカラーリングをお願いしなきゃ! 学割で格安料金だけど、無駄な出費は痛いわ〜〜! 栗毛の天然パーマなんて高くつくよ」
「そうそう。生徒指導の先生、怖すぎるもんね。去年の卒業式なんて、ちょっと栗毛っぽい髪色の生徒は、全員別室に集められて黒いスプレーで『染色』されちゃったらしいよ。来賓のお偉方の好みに合わせて、髪色は『烏の濡れ羽色』に限るんだって」
「校長室の金庫に、スプレー缶を大人買いしてるらしいよ。あんな安物スプレーだと髪が傷むからやだなぁ」
「ソックスの長さも、センチメートル単位で指定されてるしね。わずか数センチの許容範囲内で『自分らしさ』を追求するのが若者のセンスの見せどころだね! これぞ多様性の探究、なんちゃってね」
「長年の涙ぐましい努力の積み重ねがあってこその『多様性と包摂』だもんね!」
「予定調和をぶち壊すようなエイリアンが一人でもいたら『包摂』なんてできないもの!」
「モデル校指定のテーマを見て、『みんな仲良く金太郎飴か』って、昂君のお父さんが何故か笑ってたなぁ」
「金太郎飴だって一つ一つ個性があるって意味じゃない? 溶けるとベタベタくっついて仲良さそうに見えるし!」
「ワケワカメ!?」
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