概要
アトラス王国の姫ステラの護衛であり幼馴染のダン・ストークは、かつて護衛だった叔父が王弟殿下を護れず非難の果てに自死したことから、「誰かを護るなんてクソ喰らえだ」と本気で考えていた。
ある日、ステラと共に王国の守護竜シェンウィーと話していると、突然シェンウィーから自分を殺してくれと頼まれる。
シェンウィーは、放置すれば竜の理性を喰らい暴走させる病――『狂竜病』に冒されていた。
ステラは自らの手でシェンウィーを殺す決断をするのだが――失敗した。
シェンウィーは狂い、血と灰の混じった雨により王国を呪いに沈め、どこかへ飛び去った。
混乱と破滅の中、ダンは狂竜病による異能と引き換えにステラの血を飲まなければ生きられない呪われた身体となる。
シェンウ
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!竜をテーマにした異世界ファンタジーの王道となりうる物語
竜を題材にしている物語は沢山ありますが、この物語はそういった『竜の物語』の王道の一つになりうるくらいの『分かりやすさ』、『多くの人が楽しめる世界観』、『始まりからページをめくる手が止まらなくなる展開』が揃っています。
そして、姫のステラと護衛のダンの可愛らしい関係性や周囲の個性ある登場人物のバックボーンも魅力的です。
主人公の職業である護衛という仕事に対する解像度も高く、堅苦しい説明ではなく、かみ砕いて伝わり易く表現されているのも上手いなと思いました。
異世界の出来事なのに、現代に生きている私の日常に重ねて感じ易い場面も多く、Web小説や異世界ファンタジーにあまり馴染みがない人でも、この…続きを読む - ★★★ Excellent!!!“狂竜病”に翻弄される、悪役姫と護衛の運命譚
星“ステラ”という輝かしい名をもつ姫が、なぜ、悪姫として語られることになるのかーー冒頭に惹きつけられて、まずは2章まで拝読しました。
主人公格はダンと姫の2人ですが。今回は、私が感情移入して読んだ、姫の視点からレビューを書かせていただきます。
勤勉な反面、奔放なステラ姫。それに振り回される、お人よしな護衛ダン。2人の仲間以上恋愛未満な関係性はもちろん、彼らを取り巻く仲間たちのやり取りも温かくて、すぐにアトラス国の状況に溶け込めました。
それが、国の守護竜の狂化によって崩れていく様には、悲しみとともに息を呑みました。
ただ、シェンウィーが残していったのは絶望だけではなくて……この先はぜひ、ご…続きを読む - ★★★ Excellent!!!喪失の先に、救いを求める元王女とその仲間たちの旅路。
かつて王国を守護していた竜シェンウィー。
しかし恐ろしい病に蝕まれ、自らを殺してほしいというその願いを叶える為、
王女ステラは、大切な守護竜を自らの手で殺す決意をします。
しかしその試みは、あと少しのところで失敗。
シェンウィーは完璧に病に侵されてしまい、
人々にも呪いを振りまく恐ろしい邪竜となって姿を消してしまいます。
そうして王国は崩壊してしまい――。
ここまででも、すでに壮大なストーリーなのですが、
この作品の素晴らしさは、そんな大きな「喪失」からの「再生」に光を当てている点です。
竜の行方を追い、亡国の王女自らが仲間を伴って旅に出る。
その意思のなんと強いことか。
王女様とい…続きを読む