概要
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!泥の中より蓮は咲く。一燈照隅、罪業の果てに灯るものとは。
一見すると、おぞましい物語です。
監禁、拷問、被虐、加虐、人体改造、殺人────────
およそ倫理に反する事柄が並びます。
しかし、その果てにたどり着く結末には不思議な、カタルシスや美しさがあるのです。
忌避する事物からしか得られない感情があるのです。
長安の都の邸宅で什器〝燭台〟として扱われる父を息子がみつける。
そこから、この奇譚は始まります。
結末に至るまでの道筋をたどるうちには、嫌悪を抱かれる方もいるでしょう。
読むのをやめる方すらいるかも知れません。
しかし、どうか結末まで読み終えてください。
読後には言いようない感情と類のない奇妙な美しさが残ることと思います。
本来…続きを読む - ★★★ Excellent!!!残虐なる悪のはびこる耽美世界。そこに灯る『一本の蝋燭』の物語
迫力に満ちた作品でした。
長安の都にて、『燭台』として生かされている一人の男がいた。
体を固定して動けなくされ、人間の身でありながら、ただ蝋燭を置くだけの燭台にさせられる。
刑罰というには残虐過ぎる、嗜虐趣味の産物。かつては武術家として知られて勇名を馳せた男。しかし彼は意に沿わぬ任務に異を唱えたことにより、権力者である帳兄弟の手で体を改造されてしまった。
そんな彼のもとに、息子が会いに来ることで物語が始まる。
本作は、南條範夫の『灯台鬼』にインスパイアされて書かれた作品だったそうです。
南条範夫と言えば直樹受賞作の『灯台鬼』の他、漫画通の中で語り継がれる『シグルイ』の原…続きを読む