概要
逢うたびに貴方を見てた
「恋と想い」そのカタチ。
大正時代の女の子、現代とは少し違うけどその変わらぬ想いが皆様に伝われば幸いです……。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!これぞまさに純文学
一言で言うなら時代背景と心理描写が秀逸な作品です。
時は大正――
思いを通わせる手段は手紙――
娯楽、ファッション、生活様式、見合い結婚が一般的なことも含め、時代背景一端を担う地の文が街を行き交う人々のように心地よく流れていきます。
無礼で失礼極まりない男……それが、やがて得難い人に変わりゆく心理の変化に注目してみてください。
紡がれる恋愛感情に見えない心の深みと奥ゆかしい変化とを堪能できることでしょう。
心を許しつつ、己の恋に気づいた喜びの笑みも。
焼け焦げてしまう程に襲われる一抹の羞恥心も。
彼と紡いだ思い出の全てが消えてしまう恐怖も。
嗚咽が漏れ、理性を叩き壊すほどに…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ああ面白かった!
恋心はたったひとつ。
詫びは千たびも。
どういう事か。それは、主人公女性、千尋の、揺れる思い。
大正時代、女学生である千尋は、慎ましい女性だ。
家の書生から、ある日、買い物につきあってほしい、と、千尋は頼まれる。
揺れる、揺れる、千尋の思い。
書生はまっすぐ、千尋を見ている。
書生はある決心をして、今日この日を迎えたからだ。
揺れ、かすかに陽炎がたつように、感情のさざなみが、男女の間を揺れる。
千尋はどうするのか。書生はどうするのか。
静かに淡々とすすんでいく物語なのに、感情表現の行間から、千尋の想いが炎熱として燃え上がる。
それが見えるから、純文学というのも面白い。
そう実感で…続きを読む - ★★★ Excellent!!!慎ましくも熱い想い これぞ恋心
大正時代。
仄かに温まる想いを抱えていた、女学生の主人公。
両親公認の別の男性からの告白を経て、己の心に向き合うことになります。
おそらく彼女は、穏やかに過ぎる日常の中で、男性から向けられている好意を薄々とは気付いていたはずで、もしもその時が来れば、両親の勧めるままに婚姻するであろうことも感じていたでしょう。
しかし、実際にその時が来たら……。
真に向き合う心は、彼女自身が思っていたよりも強く熱いものだったのではないでしょうか。
それでこそ、“想い”と呼べるもの。
この物語を読めば、恋心とは淡く消え去るものでなく、胸の奥に落ちて、慎ましくも生涯消えずに僅かな熱を持ち続けるものではない…続きを読む