ああ面白かった!

恋心はたったひとつ。
詫びは千たびも。

どういう事か。それは、主人公女性、千尋の、揺れる思い。
大正時代、女学生である千尋は、慎ましい女性だ。
家の書生から、ある日、買い物につきあってほしい、と、千尋は頼まれる。

揺れる、揺れる、千尋の思い。

書生はまっすぐ、千尋を見ている。
書生はある決心をして、今日この日を迎えたからだ。

揺れ、かすかに陽炎がたつように、感情のさざなみが、男女の間を揺れる。

千尋はどうするのか。書生はどうするのか。
静かに淡々とすすんでいく物語なのに、感情表現の行間から、千尋の想いが炎熱として燃え上がる。
それが見えるから、純文学というのも面白い。

そう実感できる名作ですよん。
9000文字以上あるけど、けして長くない。これだけの文字数が、この物語を紡ぐには必要です。
千尋の感情の動きは読者にスリルすら与える。
面白いから、読者さまは安心して一気読みしてください。

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