慎ましくも熱い想い これぞ恋心

大正時代。
仄かに温まる想いを抱えていた、女学生の主人公。
両親公認の別の男性からの告白を経て、己の心に向き合うことになります。

おそらく彼女は、穏やかに過ぎる日常の中で、男性から向けられている好意を薄々とは気付いていたはずで、もしもその時が来れば、両親の勧めるままに婚姻するであろうことも感じていたでしょう。
しかし、実際にその時が来たら……。

真に向き合う心は、彼女自身が思っていたよりも強く熱いものだったのではないでしょうか。

それでこそ、“想い”と呼べるもの。

この物語を読めば、恋心とは淡く消え去るものでなく、胸の奥に落ちて、慎ましくも生涯消えずに僅かな熱を持ち続けるものではないかと思えます。

溜め息をつきたくなる余韻。
ぜひ、静かな時間にゆっくり読んで頂きたいと思います。

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