紛争地などで混乱に乗じて文化遺産を盗み取る、いわゆる裏稼業の主人公。
今回の狙いは、錬金術の奥義が書かれているという“エメラルド・タブレット”……。
『錬金術ってあの、石を金に変えるヤツか?』
主人公の言葉です。
私も錬金術に対して、そういった認識しかありませんでした。
ですが、何かをより良いものに変えようとしていくのが錬成であるのなら、世界は錬金術と共にあるのかもしれない…この作品を読ませて頂きながら、そんなことまで考えてしまいました。
何かを捨てて何かを得る、その選択を迫られた時、主人公が選択するのは…。
まるで、一本の映画を観たような満足感を得られる短編。
その読後感の良さと共に、主人公が選択したものが、彼にとってより良い“生”であることを願い胸が熱くなります。
ぜひ読んで頂きたい物語です。