仄かな思いは秘して持ちゆく

とても素敵な作品でした。
静かでこまやかで、でも、切なくて。

仄かな恋心は写真に封印し、
自分のことを好きと言ってくれる、おいしいものを食べさせてくれる方と結婚するのでしょうねえ。
いいです! 切なくて。
大正時代に流行った「自由恋愛」という言葉が出て来るのもいい。

自由恋愛って言うけれど、今、どれくらいの人が自由恋愛出来ているのかな
と思ったりもします。

「わたしの役目は彼らの博識さを三段下くらいから眺め、若い女学生らしく見当違いな事を言えばいい。」
わたしはこの部分が特に好きでした。
千尋の考え方や人間性が出ていて。
そして、こういう女性観は実は今でも残っていると、わたしは思います。

千尋は田所さんと結婚するのでしょう。
良助さんへの思いは写真に封印して。
写真は想い出になるのでしょう。きっとずっと大切にとっておくのでしょう。

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