第9話

「ねぇ、桜子。

わたし、洋太のことすきなの」


それはいきなりカミングアウトだった。



一瞬の暴露に上手く反応が出来ていなかった気がする。


「洋太くん?

いつもいっしょだもんね」


その時、今考えてみても幼稚園では他の男の子に話しかけられても、洋太くんのように反応することはなかった。



「桜子は、司ちゃんがすきなんでしょ?」


それは断定的な言葉だったと思う。


またしても黙ると、

「ほかのともだちとあそんでいても、司ちゃんのことをよくみてるもん」



その言葉に恥ずかしくなった。

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