第17話

「ん?

ど、どうしたの?」



いつもなら普通なのに、どもってしまう。


「桜子、そばにいて」



小さな声だったから、周りには全く聞こえてなかったと思う。


でも、私にははっきり聞こえていた。



「…え?」


「そばにいてよ」



聞こえたのに聞き返した私は、よっぽど嬉しかったんだろう。



頷くと、彼は嬉しそうに笑った。



「司がわらった!」

「司くんがわらってる!

カッコイイ!」

「司くんが…」



周りに見られていたらしく、騒ぐ声が聞こえたが、気にしなかった。



やっぱり司が好きだった。

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