第5話

「あら、可愛いわねぇ」



母が屈んで頭を撫でると、恥ずかしそうに笑ってまた女の人…お母さんの後ろに隠れてしまった。



「すみません…


ほら、何やってんの洋太(ヨウタ)」



前に出そうとしていたが、物凄い踏ん張りで結局出て来なかった。



「人見知りですかね?

大丈夫ですよ。


よろしくね、洋太くん」



母が笑いながら言うと、彼は顔だけ見せて笑顔で頷いてくれた。



その時初めてちゃんと顔を見て、可愛い顔立ちをしている、と子供ながらに思ったんだ。



帰り際には、洋太くんは手を振ってくれて、満面の笑みを向けてくれた。

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