比嘉沙也加の気持ち

生徒会室に訪ねてきた新庄誠を見たときイラついてしまった。心の底から、なぜ、君は生きていて純恋だけいないんだって。理不尽な怒りが沸いた。純恋がいないのは誠のせいだと思った。誠さえいなければもう少し長く生きられたかもしれない。そう思ってしまう。そんな考えを浮ぶ私が嫌いだ。現実を受け入れたくなかった。私は復讐のために誠を生徒会のメンバーに入れるようにした。上野雪という女子もついてきたけど、まあ、いいだろう。しかし、依頼には対価を払わないといけないらしい。金でもなんでも払ってやろうと思っていたがどうやら部活に入ることが条件と言われた。ちょうどよかった。これで復讐ができる。誠は人と関わってはいけない人だ。この人と関わる人は傷ついて死ぬだろう。私の妹もそうだった。死ぬ一週間前純恋は誠と遊びに行って帰ってきた時泣いていた。きっとそのせいで純恋は死んだんだ。本当は病気で亡くなったの心の中で分かっている、けど誰かのせいにしないと壊れてしまう。

 私は意地悪をするつもりで誠をからかった。誠は私が純恋の姉だとわかっているはずだ。それは好都合だった。責任を感じるだろう。私は彼が楽しく過ごそうとしていることにも腹が立った。

彼をからかっていると、隣にいる雪が怒っていた。むかついていた。もう、純恋のことなんか忘れているんでしょうね。

 その日は雪とは少し言い合いになったけどあまり大事にはならなかった。私は翌日部活に行くことにした。

 ※

 部室で待っていると、誠は後ろに初めてみる人たちを連れていた。怒りの感情が沸いた。純恋のことを忘れて友達作りですか。そんなの許せない、絶対に誠は危険な人物だって教えてやる。復讐してやる。

 昔話の話題を出せば雰囲気を悪くできるんじゃないかなと思った。しかし、誠がその話はやめましょうと言ってきた。そして、今度話そうと。どうやら、隠して生活しているんだろうと分かった。その後は聞きたくもない話を聞いた。私は生徒会長だ、模範となる生徒じゃなくちゃいけない。表の私で接する。今日は解散となった。みんな楽しかったと言う。私は心の底から楽しくなかった。どう復讐するかだけ考えていた。みんなと仲良くなったら噂を流そうか。とか復讐のことばかり考えていた。

 雪が私の方を見つめる。何かを見透かすような目だった。

 下校時刻となったので帰ることにした。私が戸締りするよと言い先にみんなを帰した。戸締りをしているとスマホが落ちているのがわかった。スマホを拾う、画面が光る。

 驚いた。誠と純恋のツーショットだった。泣きそうになった。純恋は可哀そうにこんなひどい男に、遊ばれて可哀そう。反省とかは絶対にしていない。私がやらなきゃ他の子たちも傷ついてしまう。純恋はいい子だった、家事の手伝いをしたり、朝起こしに来てくれたりと、とても可愛かった。けど、ある日咳が止まらなくなっていた。いやな予感がした。頼む重い病気ではありませんように。現実残酷だった。世界を憎んだ。

 余命半年らしい。ああ、なんでこんなに優しい子が死ぬの?なんで、なんでよ。

 純恋は帰るのが遅くなっていた。家族に時間を使うより好きな人に時間を使いたいみたい。それはとても良いと思った。少しでも幸せになってほしかったから。けど、ある日純恋は泣いて帰ってきた。どうやら今まで遊んでいた新庄誠という男らしい。

 「遊んでいるとね」

 途中まで言うと泣くのをやめ、やっぱなんでもないと言って部屋に戻って行った。それから一週間後純恋は亡くなった。それから私は新庄誠を恨んだ。

 椅子を出し、足を組んで座る。30分ほど待つと誠が来た。

 スマホをすぐに返して帰ろうと思っていた。けど、私の苗字を呼んだ。驚いた。誠には言う資格も何のに。なんで許されてみたいな雰囲気出しているんだ。

 君に言う資格はないと思うと言った。そしたら前に進むと言う。前に進むね、ふざけるなと思った。どんだけ前に進んでも純恋は帰ってこない。それから、私は怒った我を忘れるくらいに。いつの間にか彼は泣いていた。泣いたら許されるのかと思っているのか。そんな簡単に許したりはしない。誠がじゃあどうすればよかったんだと言ってきた。怒りに身を任せ言ってはいけない言葉を言いそうになる。彼は倒れる。彼のもとに行きスマホを投げる

「じゃあ、また明日」

 そう言って私は帰る。外に出ると泣いた。やってしまった、私は最低なことをした。本当は病気で亡くなったのが真実なのに誰かのせいにして現実から目を背けた。そして、誠に最低なことを言ってしまった。誠のスマホを見たとき分かっていた。彼が純恋を大切にしていると分かっていたのに、なんで私はあんな酷いことを最低だ最低だ。ねえ、純恋、私はどうすればいいのかな?泣いていると後ろから走ってくる足音が聞こえてきた。

「待ってください沙也加先輩」

 誠だった。なんであんな酷いことを言ったのに今私の目の前にいるの。なんで、さらに泣いた。私はほんとにバカばことをしてしまった。多分、誠は世界で一番優しい人だろう。

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