向き合うしか道は残されていないから

それからだった。人殺しの誠という噂が流れてから俺の周りから友達が消えた。

 何とも言えない気持ちになったよ、今まで優しく生きていたのに噂で印象も簡単に変わるなんて思いもしなかった。

 桜と美穂は今にも泣きそうな顔をした。

 それから俺は、誰とも関わらないと決めたよ。

 頭では理解しているのに心が壊れていくんだ。そして、俺は自殺しようと考えた。誰も助けてくれない。

 突然雪が怒ったような口調で言う。

「なあ、桜と美穂は同じ中学何だよな?」

 俺はそうだと言う。起き上がり桜と美穂の方に詰め寄る。

「何で、助けやらなかったんだ。ここまで追い込まれてるのに、何で今ここにいるんだ?一度見捨てたのに」

 二人は固まっていた。

「大丈夫だよ雪、今は何ともないから」

 悲しい雰囲気になっていた。一週間前は庇うこともしなかったらだろう。俺の気持ちは一週間で変わっていた。

  そして、その後起きたことを話した。

 屋上で彼女に出会ったんだ。上野雪君に。

 俺は自殺しようと屋上に向かった。その時だった俺の目の前に上野雪が現れたんだ。

 実際そんな人はいなかった。俺が架空で作り上げだ人だった。けど救われたんだ。毎日が楽しかった。幻想でまがいものの君を作ったんだ。

 驚いた表情を浮かんでいた。そして俺は言う。

 君と部活をしたいと思ったのは、部活の内容が気になったんじゃなくて、雪と同姓同名だったから。ただね、今は違うんだ俺は君を知りたいと思っている。俺のことなんか興味はないと思うけど、きもいと思うなら俺は部活をやめて関わることはやめる。

 そう告げた。数秒の沈黙が長く感じた。

「私は気にしないよ」

 一言だけ返ってきた。

 これが中学の時あったことだ。

俺は嘘をついた、一番辛かったのは中学3年の頃だった。それはまだ言えない秘密だ。

 俺は美穂と桜の方を見る。

「すまなかった。俺は自分の気持ちに嘘をついていた。関わりたくなと言ったけどあれは嘘だ。またやり直したい。みんなと仲良くしたい、あの時は本当にごめん、冷たくしてしまった。」

「私の方だよ、だってあの時 助けることができなかった。ずっと反省している」

 桜は俺の目を見ながら言う。今度は逃げないと強い目で。

「私もずっと後悔してる。私が言ったあの言葉は最低だった。周りの空気に合わしていた。もうそんなことをはしない絶対に最後まで信じる」

 美穂も続けて言う。

 あの時止まっていた、時計の針が動き出した。今度は20年持つ電池に変えて。

 その後は他愛もない話をした。

 時刻20時を過ぎていた。みんなは帰る準備をする。休日に何してんだ、と思ったけどけどこれもまたいいだろう。俺はこの日から変わる、純恋と約束したことを守る絶対に、純恋から幸せに生きてと言われた。天国に行った時少しでも楽しい話をできるような人生を過ごそう。

 ポンと肩を叩かれる。少し話そう。沙也加先輩が言う。他のメンバーは又明日学校で、と言い帰っていた。

「純恋が君にしたことは許されないだろう。すまない」

 なんとも言えない表情を浮かべ彼女は言う。初めて知った純恋の裏の顔みたいなもんだ。

「純恋は、優しすぎたんです。だから、ストレスをずっとため込んでいた、だから何かにあたるしかなかった、まあ、その矛先が俺でよかったですけどね」

 冗談交じりで言う。笑うことなく真剣な表情を浮かべながら俺の方を向く

「純恋は、楽しそうだったか。私は優しい一面しか知らなかった。本当に最低だよ。

「そんなことないと思いますよ。いつも沙也加先輩の話していましたよ、誇りに思える人だって。そうですね、ずっと楽しそうでした。どこに行ってもずっと笑う子でした」

 外の景色を見る、なんでだろういつも見る景色は今日は滲んで見えた。この景色もいいな、できればもう見たくないけど――

「そうか、そうか」

「それと、頼までたんです。姉さんのことをよろしくねって。だから、何か困っても俺が必ず助けます。絶対に。辛い時でも、逃げたくなる時でも必ず。もう、泣くことがないようにします」

 なんだ、この告白みたいな言い方は、と思いながら前を向く

「君は優しんだな、多分世界で一番優しいよ」

「知ってますよ。純恋にも言われました」

 それから、空を見つめていた。時間が許す限り。

 「じゃあ、私は帰るよ」

「はい、明日学校で比嘉沙也加」

「ああ、明日な誠」

 今日で色々なことがあった。俺はみんなと仲良くなりたい。関わりたくなと思っていた気持ちはどこかに行っていた。

 もしかしたらやり直せるかもしれない、優しい自分を演じるんじゃなくて、

優しい自分に戻れるかもしれないと思う。今度こそ、前に行く。

 6人とも空を見つめる。もう止まることはできない前に進むことしかできない。いや前に進むしか道はなかった。

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