部活

  今俺は部活をしている、なんの部活だって?そりゃもちろん、なんでも部だ。部活動の部室と渡された教室はとても綺麗な所だった。教室の窓から見える景色はとても綺麗で海が見える。

「担当の先生どうする?」

 声をかけてきたのは、上野雪

「一応部活だから顧問がいるのか?探してみるか。それと、部員は俺たちだけなのか?」

「今のとこ部員は2人の予定よ、誰か誘いたいのかしら?」

「いや、俺は友達いないから誰も誘いたい人なんかいないよ」

「あら、そうなのね」

 続けて雪は言う

「あ、そうだ、今度部活動同士の集まりがあるらしいよ?」

「あ、うん、でも部長雪じゃん」

 え、って顔をしていた。嫌な予感がするぞ。

「え、誠が部長だよ?申請の紙にも誠って書いて提出したわ」

 おいおい、そんなことってあるのかよ。まあ、誰とも関わらずにやるか。これ以上は頭がパンクしてしまう。雪は俺に興味ないと言ってるからいいとして、他の知り合いの人と関わりたくなかった。絶対に面倒なことになってしまうから。

「ところでさ、なんでも部ってこの学校に役に立つのか?」

「そうね、役に立つと思う、だってもう依頼、来てるから」

 そんなもう、依頼が来てるってことなんてあり得るのかよ。

「どんな、依頼だ?」

「生徒会の手伝いをしてほしいと生徒会長からの依頼よ」

 生徒会の仕事ね、中学校の頃、生徒会だった。生徒の役に立つと思ってやっていたけどあんまり実績を残せなかったな。

「さあ、行くよ」

「はい、はい、」

 それから、俺たちは部室を出た。しかし、なんで俺は誘われたんだ?クラスにはたくさん人がいる、ましてや、真面目な人が多いのになんで俺なんだ?

 このことは後に知ることとなる。

 ※

 3年のフロアに向かう階段を上ると、生徒会室が見えてきた。名門高校なこともあって、生徒会室はとてもでかかった。

 にしても、俺たちに依頼なんて何があるんだ?まだ、四月でイベントも何もないはずだ。なんか、胸騒ぎがする。

 扉の前に立ち、取っ手に手を掛ける。

 ガラガラと音が響く、ドアを開くと美少女が立っていた。

モデルに近い感じがした。高校生とは思えない大人の感じがした。

「よく来てくれた二人とも」

 微笑む彼女は、俺には眩しすぎて逃げたくなるほどだった。

「今日は依頼について聞きに来ました」

 雪は彼女にそう言う。とても冷たそうにしてる態度だった。

「冷たいね君、たしか、名前は上野雪だっけ?」

「はい」

「はい、って?挨拶もまともにできないのか、この方はこの高校の生徒会長だぞ」

 後ろに座っている男子が声を上げて言う。なんで、本人じゃなくてお前が言うんだよ、と内心思いつつも会話は進んでいた。

「そうですか、私誰が生徒会長とか興味がないので依頼の内容を教えて下さいませんか?」

「君って面白いって言われない?」

 そうだな、と思いつた顔で言う。

「あ、私の名前だけ言っていいかな?私の名前は〇〇沙也加、よろしくな、なんでも部」

 え、聞き覚えのある苗字に腰を抜かした。嘘だろ、おい、そんなわけない、いや、もしかしたらあり得るのか、そうだ、思い出した。頭が混乱する。そして、

 「おい、聞いてるか?おい」

 聞こえてきた声で我に返る。

「あ、すみません」

「大丈夫なのか?」

「はい」

「はーちゃんとしてくれよ、それで私たちの依頼は、生徒会に入ってくれ、それが私たち生徒会の依頼だ」

 そんなことってあり得る?まだ、四月なのに生徒会に入る生徒なんかどこを探してもいないでしょ。この依頼は絶対なのか、いや、なんでも部だぞ。いまさら、やっぱできませんなんて言ったらこの部活の存在自体が危なくなってしまう。

「俺はいいけど、雪さんはどうかな?」

 横を見ると考え事をしていた。てか、よく見ると髪も長いし、背も大きかった。可愛いより、美人って言葉が似合うと思う。

「そうね、いいでしょう、けど、対価は払ってもらわないと。そうね、沙也加さんが私たちの部活に入るなら私たちも生徒会に入る」

「いい条件だね。けど、誠君は私とちゃんと話せるのかしら?私がなんでも部に入っても会話がないならつまらないじゃん」

「いえ、俺は沙也加さんとは話したいと思っています。俺はめちゃ賛成です。」

「そうなの、てっきり嫌われているのかなって思ってたよ。よかった、じゃ私がなんでも部に入って。君たちが生徒会に入る。契約成立ね」

 明るい声で沙也加は言う。とても楽しそうだった。これは運命的な出会いなのか。それとも、俺に与えられた償いのなのか。

「それとさ、私の苗字ちゃんと覚えてよ、誠君」

「もちろん、覚えてますよ」

「じゃ、言ってみてよ、〇〇沙也加先輩って」

沈黙が流れる。生徒会室には俺たちを含め10人ほどいるのに会話の1つもなく俺たちを見ていた。この異様な状態に胸が苦しくなった。いやな、現実で思い出したくない過去、ずっと、忘れようとしても現実は甘くない。

「ねえ、言えないの?私の苗字」

 絶対に彼女は知っている。俺がどのような人なのか、どんな関係があったのか、あの噂は本当なのか。全部知っているだろう。

 俺は、絶対に苗字を言ってはいけない、言う資格なんてない。

 ただ、下を向くことしかできなかった。、ずっと下を向いて現実から、逃げたくなった。

 だって、彼女は中学生の時仲が良かったあの子の姉だ。

「さっきから、聞いてれば、あんた私の誠に何がしたいの?」

 上野雪が怒っていた。

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