誠と純恋

 純恋という人間について話した。


 純恋とは図書館で初めて出会った。初めて見たとき感動したよ、まるで天使のよな容姿に綺麗な声、しかし、それは勝手なイメージでしかなかった。


 初めて声を掛けたとき彼女はビックリしていたよ。おすすめの本を聞いたんだ。仲良くなるきっかけが欲しかった。そしておすすめされた本を借りて、すぐに読んで後日感想を言いに行ったよ。その時だった、俺は彼女を天使だと思うイメージを破壊されたよ。


 中学二年の時俺が性格悪いと噂になったのは覚えているか?桜と美穂の方を見る。ぎこちなく首を縦に振る。そうか、と確認し話を続ける。


 その時純恋から言われたんだ、君を見てると虫唾が走るってね。なんとも言えない気持ちになったよ。天使だと思っていた人がここまで怖い人なんて思いもしなかった。まさか性格が悪いのかな、って思った。けど、そんな考えを浮かんだ俺を殴りたくなったよ。もしかしたら、彼女も俺と同じで裏切られて偽りの自分を演じてるんじゃないかなと思ってね。


 多分純恋は優しい人だと思う。絶対だ。ただ優しすぎるだけだった。


 優しすぎるか故に裏切られたかもしれない、裏切られてから、優しかった純恋じゃなくて、優しい自分を演じてると思ったんだ。だから、救いたくなった。純恋が優しい自分を演じるんじゃなくて、本当の優しい人に戻って欲しかったから。


 それから、純恋に嫌われたと思ったけど、図書館に行くと。俺にこっちに来てと手招きをしてきたんだ。これはチャンスだと思った。仲良くなれるチャンスと救えるチャンスだと。


 彼女の腕には傷があった。純恋は追い込までていた、何かにあたらないと壊れてしまうところまで来ていたんだ。だから、俺をストレスの発散として利用したんだと。


 その時怒りの感情なんか忘れて、なんでだ、って思った。優しい人間がなんで損をするんだって。見返りも要らない、ただ、楽しい時間が欲しいだけなのに。


 それから俺は遊びに誘った。純恋の行きたい所に行くことにした。ゲームセンターに行きたいと言われたので近くのゲームセンターに遊びに行くことにした。


 休日に会うのは初めてだったので緊張したけど、楽しさでいつの間にか緊張なんて消えていたよ。UFOキャッチャーは難しくてほとんど取れなかったよ。ただ、ストラップは取れたんだ。スマホをちらっと見せる。沙也加先輩と一緒に取ったストラップの横にもう一個ついていた。


 そしてね、その時言われたんだ私はもうすぐ死ぬのって。あまりにも衝撃的な発言に嘘だと思ったよ。いや、嘘をつく理由なんてなかったはずだ。

だから、その時俺も泣いたんだ。


 後何日なのと聞くと、わからない、って言われたんだ。もしかしたら明日死んでしまうかもしれない、そんな恐怖が中学生に背負わすのかって神に怒ったよ。


 それから、一週間学校に来なかった。俺は心配だった。もう会えないんじゃないかって。


 三週間も学校に来なかった。俺は連絡したんだ。そしたらもう無理かもって。たった一言なのにあまりにも重い言葉だった。俺は、何をどうしたらいいんだってずっと考えた。


 数日後純恋は学校に来ていた。久しぶりに登校もあって、彼女の周りにはたくさんの人が集まっていた。苦しそうにしていた。次の瞬間純恋が倒れたんだ。俺はすぐに向かった。急いで保健室に運んだ。後ろから聞こえる声は、あの人って、うわ、きも、などの暴言ばかりだった。


保健室に着くとここで待ってるようにと言われた。俺は彼女の眠る横に座りじっと見つめる。どうして君なんだ。俺はこの頃から純恋が好きだったんだ。いつも考えてしまう、明日には元気でいるのかな。もしかしたら、っていつも考えていた。


 すると、純恋は目を覚まして俺にずっと謝ってきたんだ。なんのことだって思ったけどすぐに理解した。私のせいでごめんね、ごめんねって。ただ、大丈夫だよって言うしかなった。多分後悔したんだろう。自分のした過ちを。でもそんなことどうでもよかった、ここまで優しかった人がここまで変えてしまったことに怒りを感じていた。こんな優しい人を裏切った人を殴りたくなった。


 その時聞いたんだ、君はこうなるまで何があったのって。そしたら俺の考えてることと同じだったよ。


 純恋はいつも優しかった。しかし、裏切られてしまった。なんで優しいだけなのに悲しい気持ちになってしまうのって、思ったらしい、だから、偽りの優しい自分を演じることにした。それだったら傷つくことはないと思ったらしい。けど、限界を迎えて、純恋は俺の噂を流したらしい、俺の噂は中学1年の時に流れていた噂があるのは知っていたらしい、それもあって俺の噂を広めたみたいだった。正直なんとも思わなかった。


 俺は大丈夫だよとだけ言った。


 それから、一週間後急に純恋に呼ばれた。行きたくなかった。行ってしまえば何かが終わる気がしたから。けど、行くしか道はなかった。


 待ち合わせ場所に向かうと純恋は下を向いていた。


 私は最低なことをしてしまった。本当にごめんね。そんなことを言われた。そして次の瞬間泣きそうになっていた。


 私のことを忘れて幸せに生きてね。そう言われた。いやだ、君に会えないなんて嘘だ。終わりたくない、俺は純恋のことが好きなんだ。まだ、祭りにも行ってない、君のしたいことを何も叶えてない、まだ救っていない。


 好きだと言いたい。だめだ、言ってはいけないと思っている。けど、後悔するかもしれない。そして俺は、純恋に告白した。


 好き。


 たった一言だけ言った。呪いの言葉を。


 それから純恋は走って帰って行った。そこに立つことしかできななかった。


 そして、一週間後純恋は亡くなった。

純恋と学校で最後に会ったのは俺だった。ただそれだけの理由で俺は純恋を追いこんだ人と言われた。人殺しの誠と。

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