酢で人を助けたい。

ピーグルス王国は歴史的不作の年が続き、多くの領地で餓死者が発生した。
小さな村で農業に営んでいたビネスもまたその影響を受け、危うく村全体が餓死する寸前まで追い詰められる。
飢えに苦しんでいた時、旅の商人がたちが通りがかり余っているからと酢漬けの野菜や肉をタダ同然で売ってくれた。
酢の酸っぱささえ、この世のものとは思えぬ甘美な味がした。
それはまるで神からの贈り物のようだった。
妹と分け合って泣きながら食べたのを覚えている。
おかげで村では誰も死者を出さずにすんだ。

そしてその日誓ったのだ。
酢を作り、今度は誰かを救うのだと