公爵は椅子になりたがる

「本日も皆さまお元気でいらっしゃいますわねぇ‼　口を開けば我が家への暴言ばっかり‼」

貴族ながらも商人であるブリゲッラ男爵の娘――シュンエイは、社交界での陰口に耐えきれず啖呵を切った。まるで国中で流行っている小説に登場する悪役令嬢のように。
そのままその場を去ろうとするシュンエイだったが、公爵であるアルレッキーノに呼び止められてしまう。流石に罰を受けるかと身構えたが、彼が放った言葉は想像の斜め上をいくものだった。

「――僕を、きみの椅子にしてほしい」

この言葉から、彼女の望まぬ『ご主人様ライフ』は始まりを告げる。
これはド変態公爵×商人見習いの男爵令嬢の物語。