第九章 真実の否定

依頼者きさらは、同級生の男の子けいしに密かに恋心を抱いていた。彼に対する想いは日々募るばかりだったが、いつもけいしにからかわれてばかりで、彼の本当の気持ちがわからなかった。けいしの態度に不安と期待が入り混じり、きさらの心は揺れていた。


そんなある日、きさらはインターネットでかけるの配信を見つけた。言語製造黒魔術プログラミングブラックマジックの力で、けいしとの関係を変えることができるかもしれないと考えたきさらは、勇気を振り絞って依頼を決意した。


「相手の本当の心は変えられませんが、それでもあなたは望みますか?」

翔の言葉にきさらは少し戸惑ったが、強い両思いになる願いが彼女の耳には入らなかった。


「お願いします、けいしと両思いになりたいんです。」

きさらの強い決意に翔は頷き、言語製造黒魔術プログラミングブラックマジックのコードを書き上げた。


しばらくして、放課後にけいしから呼び出されたきさらは、ドキドキしながら待ち合わせ場所に向かった。けいしは照れくさそうに、実は前から好きだったこと、付き合ってほしいと告白した。

最初は嬉しさに満ち溢れ、依頼して良かったと思ったきさらだったが、次第に違和感が芽生え始めた。けいしの言動がどこか不自然に感じられ、本当の気持ちが伝わってこないような気がしたのだ。


実は、けいしもきさらのことが好きだったが、言語製造黒魔術プログラミングブラックマジックによって心を書き換えられたことにより、彼の本当の気持ちは機械に上書きされてしまっていた。本当の気持ちを伝えようとすると、コードの影響により嘘を言っているような雰囲気が相手に伝わってしまうこととなった。


その結果、二人の関係は次第にぎこちなくなり、うまくいかなくなってしまった。きさらは悩んだ末に再び翔に相談を持ちかけた。


「相手の心を書き換えてまで、相手がほしいと思うのでしょうか。それはただの虚像であると、俺は考える。」


翔の言葉がきさらの胸に突き刺さった。

きさらは深く反省し、けいしに本当の気持ちを伝えることの大切さを学んだ。翔の言語製造黒魔術プログラミングブラックマジックは万能ではなく、心の奥底にある真実を変えることはできないと悟ったのだった。


けいしに真実を話し、二人は再び関係を築くことを決意した。心の奥底にある本当の気持ちを大切にし、嘘偽りのない愛を育むために。

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