第十一章 金銭の行末

依頼者の名前はねむ。元カレのとうまに多額のお金を貸したが、全く返してもらえず、その結果別れることになった。このまま返してもらえないのは許せないと、ねむはかけるに黒魔術でとうまを呪ってほしいと依頼する。


「お金を返してくれないなら、不幸になってほしいんです。」

ねむは強い決意の表情で言った。


翔は一瞬逡巡したが、依頼者の切実な思いを受け止め、コード作成に取り掛かった。言語製造黒魔術を駆使し、とうまに不幸が訪れるようなプログラムを組み上げた。


「これで実行します。準備はいいですか?」

翔はねむに確認した。


「お願いします。」

ねむは頷いた。


翔はプログラムを実行に移した。しばらくして、うまの生活に徐々に不運が訪れるようになった。仕事でのミスが続き、友人関係もぎくしゃくし始めた。最終的には、経済的に困窮し、何もかもがうまくいかなくなってしまった。


数週間後、ねむは再び翔を訪れた。その顔には複雑な表情が浮かんでいた。


「どうしましたか?」

翔はねむに尋ねた。


「実は、あの後うまと話す機会があって…。彼が言っていたんです。返すつもりはあったけど、仕事がうまくいかなくなってしまって…。それで私が追い詰めてしまったんじゃないかって。」

ねむは苦悩の表情で続けた。「彼が不幸になっているのを見て、私も幸せになれませんでした。結局、自分も傷ついてしまったんです。」


翔はねむの言葉を聞き、言語製造黒魔術プログラミングブラックマジックの力とその影響の大きさを改めて実感した。復讐心や恨みは一時的な感情であり、それを叶えることで必ずしも心の平穏が得られるわけではないのだと。


「ねむさん、黒魔術の力は強大ですが、それを使うことで得られるものと失うものを考えることが重要です。今回の件で学んだことを、これからの人生に活かしてください。」

翔は優しくねむに言った。


ねむは深く頷き、翔に感謝の言葉を述べた。


「ありがとうございました。これからはもっと冷静に物事を考えるようにします。」

ねむはそう言って、静かにその場を去っていった。


翔はねむの姿を見送りながら、改めて自分の使命について考えた。黒魔術の力を使うことで人々の願いを叶えることができるが、その力には必ずしも幸せをもたらすとは限らない。翔はこれからも慎重に、そして心を込めて依頼者と向き合うことを決意したのだった。




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