第十九章 令和の改新

翔は深いため息をつきながら、配信中のカメラに向かって口を開いた。 彼の声にはかすかな恐怖があったが、それは恐れからではなく、怒りと痛みの表れだった。


「今日の依頼は、これまでで一番重いのものだ。税金が高すぎて、生きる希望が見えないという声が、全国から届いている。特に、裏金を使って贅沢三昧している議員たち。財務省や厚生労働省、こども家庭庁の無駄遣いで苦しんでいる人々が、私に助けを求めているんだ」


翔は言葉を選ぶように少し黙ってから、言葉を続けた。


「このままだと、無駄にお金を浪費している政府に、国民は一生我慢をし続けることになる。でも、私には社会を変えれる方法がある。今の現状を食い止めなくてはならない」


その言葉が終わる途中、翔は画面の前に集められた視聴者のコメントを見つめていた。この憎しみの数こそが言語製造黒魔術の威力を増幅させる。


翔の能力、それは「言語製造黒魔術」 プログラミングで世界を書き換え、未来を変える力。そしてエネルギーは視聴者のコメントや思念。怒りと絶望が集まれば集まるほどより強く、深く、現実が変わる確率が増していく。


「みんなの願い、受け取ったよ」


翔は静かに呟き、プログラミングを作成する。その瞬間、彼の体を覆うエネルギーが爆発的に拡大し、画面の外にいる視聴者も感覚的にそれを知覚できる。


「これで終わりだ」


翔は呟き、キーボードのエンターキーをターンっと押した。


それから数日後、全国の主要な政治家たちに異変が起き始めた。その後、こども家庭庁に関する不正行為が露わとなり、批判の嵐が吹き荒れた。その影響により、こども家庭庁は解体となった。


最も注目すべきは、自由党の議員たちだった。裏金の不正利用をした議員たちが次々と失脚し、最終的には自由党が多大な批判を受け、支持率が急落した。彼らは反省し、議員報酬も正しく見直され、政治の無駄な行動は次第に減少していた。


翔は、自分が日本に大きな影響を与えたことを悟っていた。 彼の力が正義となり、これまで辛く苦しい思いをしてきた人々に希望を与えてくれたのである。


「自分たちの力で対処できないという無力感、誰も助けてくれない絶望感を、現代の人々は心に抱えているはずだ。でも、俺にはこの力がある。人の不幸が分からない者たちを裁く力が。言語製造黒魔術が力を持つ限り、誰かを助けるためにこの能力を使いたい」


翔の心には、何かが変わったという確信があった。 黒魔術を使うことで、何もできずただやり過ごすのではなく、不正を正す力に変えられるということを、世界を少しでも良くするために戦い続けることを誓った。


翔が見守る中、国民はやがて安心な社会生活を送り、未来への希望を持てるようになった。

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言語製造黒魔術 雨冠雫 @crownsizuku

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