第十七章 虚偽の依頼

かけるは今日も配信で依頼を募っていた。ある日、美術部の部員ミカからの依頼が舞い込んだ。


「同期の美術部員が絵が上手くて、私が嫉妬しています。どうにかしてくれませんか?」


翔は言葉に少し驚きながらも、冷静に答えた。


「その悩みの根本的な解決策として、自分を磨くことが一番ですが、あなたはどう思いますか?」


「あの子とは色々うまくいっていなくて、あの子自体をどうにかしてほしいの。」


翔はミカの依頼を受け入れ、相手の運に影響を与える言語製造黒魔術プログラミングブラックマジックのコードを構築し始めた。

翔は完成したコードを、ミカに確認させた。


「これで実行します。何か問題があれば、すぐに連絡してください。」


ミカは頷き、プログラムを実行した。


しかし、1週間ほど経過しても、相手に何の変化も起こらなかった。翔は状況を確認するためにミカに連絡を取った。


「1週間が経ちましたが、何か起こりましたか?」


「なにも、起こりませんでした。」


翔は驚きながらも、冷静に状況を分析した。実行したプログラムが失敗するはずがないからだ。


翔は自分のプログラムに問題がないか再度確認することにした。プログラムのコードをもう一度見直し、実行の過程で何かミスがなかったかを検証した。


確認の結果、プログラムの構成には問題がないことがわかった。しかし、ミカが実際には対象の相手と仲が良く、嘘の依頼をしていたことが明らかになった。


「実は、相手と親しい関係にあり、あなたの能力が本物か試すために依頼しました。」ミカは告白した。


翔はその事実に驚きながらも冷静に答えた。


「プログラムの実行には、依頼者の真実の感情が必要です。嘘の依頼では期待する結果は得られません。あなたの為に作成したコードは本物ですが、虚偽の依頼には対応できないのです。」


ミカは深く反省し、謝罪の意を示した。


「申し訳ありません。あなたの力を試すために虚偽の依頼をしてしまいました。今後は本当に助けが必要な時だけ、正直な依頼をします。」


翔はその後、ミカの誠意を受け入れ、彼女の美術技術の向上に向けたアドバイスを無償で提供することにした。


「次からは、本当に困っている時にだけお願いしてください。プログラムの力は、本物の感情に応えるためにあります。」


翔は、プログラムの力が本物の感情に基づいてこそ機能することを深く理解し、虚偽の依頼には応えられないことを改めて認識した。これからも、依頼者の真摯な願いに応え、言語製造黒魔術プログラミングブラックマジックを通じて人々の幸せを支える決意を新たにした。


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