言語製造黒魔術

序章 最初の黒魔術

俺は黒輪翔（くろわかける）。28歳のシステムエンジニアで、毎日上司の和田にパワハラを受けていた。 和田は翔の仕事に対して常に厳しい批判を繰り返し、他の同僚の前で屈辱的な言葉を浴びることが日常茶飯事だった。 翔は次第に精神的な限界に近づいていた。

ふと目に留まったのは、古びた本屋の看板だった。 何かに引き寄せられるように店内に入ると、そこにはホルムアルデヒドをかぶった本棚が並んでいた。題された一冊の古い本が目に入った。 翔は半信半疑でその本を手に取り、ページをめくり始めた。 中には古今東西の黒魔術の技法が詳細に記されており、どれもまた実際に取り組むには怪しいものばかりだった。

しかし、その瞬間、翔の中に一つのアイデアが閃いた。 「自分の得意なプログラミングで、これらの魔術を再現できるのでは？」 という考えが浮かんだのだ。 翔はその日から、仕事が終わるとすぐに家に帰り、夜な夜なプログラムを書き始めた。魔術の理論とプログラミングの技術を試すという前代未聞の試みは、驚くほどスムーズに進んだのだ。

数週間後、翔はついに「言語製造黒魔術（プログラミングブラックマジック）」を完成させた。 このプログラムは、コンピュータの画面にコードを打ち込むだけで、魔術を発動させることができるというものだった。簡単な魔術を実行してみると、それは確かに効果を発揮した。

そして、翔はある決意を胸にネットを開始することを決意した。 匿名性を優先して配信するために声だけの配信とし、画面にメモ帳を用意して依頼内容をまとめていく配信方式とした。「復讐したい誰かを助けるために、この力を使おう」と翔は決意した。 最初の配信では、翔の技術の一部を紹介し、その効果を証明するために簡単な呪術を公開した。最初はやや不安もあったが、やがてその効果にみんなが驚愕し、翔の配信は瞬く間に話題となった。

翔の言語製造黒魔術（プログラミングブラックマジック）を使った復讐劇が、ここから始まるのだった。

最初の依頼は、翔の配信を見た一人のハルカという女性からのものだった。彼女は職場の同僚たちから、何もしていないのに執拗ないじめを受けていた。仕事中に無視されることは日常茶飯事で、陰で悪口を言われ、時には彼女の業務が妨害されることさえあった。毎朝職場に向かうのが苦痛で、次第に心身ともに疲弊していった彼女は、ついに翔に助けを求める決意をした。

翔は依頼を慎重に検討し、ハルカの状況を理解した上で計画を練り始めた。プログラムのコードは、いじめを行っている同僚たちに効果的な形で影響を与えるよう、細心の注意を払って設計された。翔はハルカの報告を元に、同僚たちの心理的な弱点を突くための調整を施し、いじめが自然に終息するような効果を狙った。

数日後、翔はハルカに特別に組み上げたプログラムの一部を送信し、彼女のパソコンから実行するように指示した。彼女は不安と期待が入り混じる中、指示通りにプログラムを実行した。

すると、驚くべきことが起こった。同僚たちは次第にハルカに対する態度を変え始め、やがていじめが完全に止んだのだ。職場内での彼女の存在感が次第に増し、ついにはいじめを主導していた人物が他の部署へ異動されることとなった。

ハルカは翔に感謝の言葉を送り、その効果に驚きと感動を隠せなかった。

翔は自分の力の凄まじさを再確認し、続く依頼に備えた。 翔のネット配信はますます注目を集め、多くの人々が彼に助けを求めて集まってくるようになるだろう。言語製造黒魔術（プログラミングブラックマジック）は、他人に復讐できない人々の希望の光となり、その影響力は益々増加していくこととなる。