言語製造黒魔術

第三章 友情の終局

黒輪翔（くろわかける）のもとに、また新たな依頼が舞い込んだ。依頼者はゆうという高校生の少女だった。彼女の目には深い悲しみと怒りが混じり合い、翔は彼女の話をじっと聞くことにした。

ゆうには、中学生の頃から大好きな大親友、みなみがいた。二人はどこへ行くにも一緒で、高校生になってもその絆は変わらなかった。休みの日や夜には頻繁に電話やラインをするほど、二人は心の底から信頼し合っていた。

しかし、ある日、ゆうの耳に衝撃的な噂が入った。友人たちから、みなみがゆうの悪口を言っていたというのだ。信じられない思いでゆうはみなみに確認しようとしたが、その噂を否定することはなかった。これがきっかけで、二人の関係は一気に冷え込んだ。

ゆうは、親友から裏切られたという思いに苛まれ、次第に復讐心を募らせていった。みなみへの失望と怒りが彼女の心を占め、ついに翔のもとを訪れる決意をしたのだった。

ゆうは、翔に自分の苦しみを語り始めた。みなみとの友情がどれほど大切だったか、そしてそれが一瞬で崩れ去ったことに対する絶望を。翔は彼女の話を静かに聞き、慎重に彼女の復讐計画（リベンジプラン）を考え始めた。

実際には、みなみが悪口を言っていたという噂には、ある理由があった。みなみは家の事情で転校することが決まっており、そのことをゆうに話すことができなかった。親友が悲しむ姿を見たくないと思ったみなみは、あえて噂話を否定せず、ゆうとの関係を自ら壊すことを選んだのだった。

翔は、ゆうの気持ちを理解しながらも、みなみの本当の意図を見抜くことができた。翔は、ゆうに対して慎重に言葉を選びながら、みなみの気持ちを伝えるべきか悩んだ。しかし、依頼者の願いを叶えることが彼の役目である以上、翔はゆうの望む復讐計画（リベンジプラン）を進めることに決めた。

プログラムが完成し、ゆうに渡された。翔は、そのプログラムがどのような結果をもたらすかを慎重に考え、ゆうに実行の前に一度冷静になるよう伝えた。しかし、ゆうの復讐心は揺るがず、彼女はプログラムを実行することを決意した。

数日後、プログラムが実行されると、みなみの周囲には奇妙なトラブルが次々と発生し始めた。友人たちからの信頼を失い、みなみは孤立していった。その状況を見たゆうは、一時的な満足感を得たものの、心の中には空虚感が残った。

みなみが転校する日が近づくと、ゆうは再び翔のもとを訪れた。彼女は涙を流しながら、みなみとの本当の関係を知りたいと願った。翔は、みなみの本心をゆうに伝えることを決意し、彼女にすべてを話した。

ゆうは、みなみの本当の気持ちを知ったことで、深い後悔と悲しみを感じた。彼女はみなみに謝罪し、二人は再び心を通わせることができたが、その友情はかつてのように戻ることはなかった。

翔は、この出来事を通じて、自分の力がもたらす結果の重さを再確認した。翔の言語製造黒魔術（プログラミングブラックマジック）は、人々の願いを叶える一方で、その代償として多くの痛みと後悔をもたらすことがあることを、改めて痛感したのだった。