鈴虫が泣く頃に

これは、私の魂の記憶。皆さんは、前世が存在していると、信じるだろうか？

意中の人の手に触れた時、まるで愛の再会のように感じる事も、あるかもしれない。それはきっと、私達が輪廻転生の中で、普段忘れてしまっている遠い昔の記憶。

平安時代の貴族、藤原惟貞。プレイボーイと名高い彼には、人に話したくない秘密があった。秘密を愛する人と共有した時、彼の時間は動き出す。

そして、愛の結末がどうであれ、その決断に間違いはなかった。この人生での一コマが、私の魂に彩りを添える。

私は、愛を知ったのだから。