第16章 ウォーターメロン
そんな事件も忘れた頃、北茨城に長期出張に行く事になった。
現場は海でも田舎の方なので周りには何も無かったが、素晴らしく海が綺麗で休みの日は釣りをしたりして海を満喫していた。
北茨城はアンコウが有名でアンコウ鍋や、魚貝類がとても美味しく最高だった。
酒飲みの仲間達はスナックに行きたいなと話していたが近くにはない。
皆んなで調べて一番近いのは福島県の温泉街しかなく、そこへ行く事になった。
C『温泉街は、飲み屋は付きものだ!
さぁ、皆んなで行こうか?』
私は心の中で思った。
私『酒乱のお前が言う事かよ。』
とまぁ、1人だけお酒飲めないやつがいたので、そいつの運転でいざ福島へ約40分の旅が始まった。
途中コンビニでビールやら、チューハイやらを買い込み車内で宴会が始まった。
季節は夏で国道では果物売りの屋台がチラホラ…
途中、手書きで縦長の看板が何キロか毎に設置されていた。
その看板にCさんが食いついた。
C『の、野沢菜のじ、女王出演中⁉️』
そう、それはストリップ劇場に誘う看板だった。
C『野沢菜の女王なんて聞いたことねぇーぞ。面白そうだ!よし、皆んなストリップ行くぞー!』
酔い始めていた。私達もほろ酔いだったし、何よりも暇だったので皆賛成した。
アホみたいに皆んなで、
『のーざわな♫のーざわな♪』
と合唱していた。酔っ払いのアホ共の完成である。
途中、やはり国道で果物が売っていて美味しそうなスイカがあった。
C『スイカ食いながらストリップ見物しよう!』
皆んな『賛成!』
全くもってアホ過ぎる輩どもだった。
そしてストリップ小屋に到着した。
『お一人様3000円になります』
と、スタッフが言った。
C『皆んな俺のおごりだ!気にすんな!』
皆んな『あざーす!』
Cはテンション高く酔っていた。右手に紐で括られたスイカを持って。
するとスタッフがニヤニヤ薄ら笑いを浮かべながらCに近寄ってきた。
スタッフ『お客さん、それは無理ですよー』
と言ってスイカに指を指した。
C『なんでだ!』
と、怒鳴った。
やばいと思った私は飲食禁止だと思い、
すいません…と謝った。
が、スタッフはニヤニヤ薄ら笑いをしていた。
C『関係ねーよ。皆んな入るぞ!』
と言って劇場の中に颯爽と入って行った。その後に私達もつづいた。
スタッフの声が聴こえる。
スタッフ『野菜の女王でも無理だと思いますよー』
と…
私『や、野菜⁉️』
そう、看板には確かに野菜の女王と書いていた…
酔っていたCさんは事もあろうか一字足して“野沢菜“と勘違いしていた。
劇場の中に入った私達はまだ意味がよくわからなかったが、他のお客さんをみると、皆手に胡瓜やら人参やら、ごぼうやらを手にしていた。
ショーもクライマックスに来て踊り子さんがマイクで話した。
踊り子『今日は3人までよ!』
そして、抽選会が始まった。
ジャンケンにかった3名が権利を得られた。
上位3名はステージに上る。
C『何だよ。いったい。』
その3名は手に持った野菜にローションを踊り子さんに塗られて…
踊り子『1人2回までね!』
と言った。
踊り子『写真は一枚1000円よ。』
私は絶句した。そして心の中で思った。
私『そ、そりゃあ、スイカは無理だ…』
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